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2019 年度 実施状況報告書

歯の形成における時期特異的な細胞増殖阻害による影響についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K19264
研究機関大阪大学

研究代表者

磯貝 由佳子  大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (20724743)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード歯牙形成不全 / 細胞増殖 / 抗がん剤
研究実績の概要

歯は上皮間葉相互作用を始めとする連続する生物学的イベントの結果として形成される。発生は歯冠形成から始まり、その後に歯根形成が始まる。歯冠完成後、内外エナメル上皮が癒合したサービカルループが細胞増殖を示し、尖端方向に成長し、ヘルトビッヒ上皮鞘を形成して歯根が形成される。これまでに、細胞増殖抑制効果がある化学療法を行った小児がん患者に、歯牙の部分的な欠損、短根やタウロドント(樋状根)など歯根形態異常、萌出遅延,矮小歯など歯および歯根形成不全がみられることが報告されており、これらの異常による不正咬合等、咀嚼等の口腔機能に障害をきたす事が知られている。本年度の研究では実際に過去に抗がん剤治療の経緯がある患者の歯牙発生の状態をパノラマX線写真を用いて評価すると同時に側貌規格X線写真を用いた顎顔面形態の計測などを行った。その結果抗がん剤の投与時期特異的な歯牙形成不全が認められた。この結果は我々が以前行った動物実験による結果を再現するものであった。また歯牙形態不全が原因と考えられる特徴的な顎顔面形態(相対的に前方位の下顎、短い下顎顔面高)が観察された。この事は抗がん剤の投与時期(歯の発生ステージ)の違いによって現れる歯の表現型に多様性がある事を示している。また歯牙形成不全の程度、表現型によって起こりうる不正咬合や顎顔面形態異常が存在する事を示しており基礎的及び臨床的に応用可能な有意義な結果と言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究計画では動物も用いて具体的な歯の発生ステージ毎の抗がん剤の影響を調査する予定であったが、ヒト患者における解析が想定以上に時間を有した。

今後の研究の推進方策

今後は胎児を用いた抗がん剤の具体的な歯の発生ステージ毎の抗がん剤や細胞増殖阻害剤の作用を調査する予定である。また新たに古典的Wntシグナルの活性化が生体内で可視化可能なマウスを用いて抗がん剤等が歯の発生に必要不可欠なシグナル伝達経路にどの様に影響を与えるのかを探索していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Observation of Dynamic Cellular Migration of the Medial Edge Epithelium of the Palatal Shelf in vitro2019

    • 著者名/発表者名
      Aoyama Gozo、Kurosaka Hiroshi、Oka Ayaka、Nakatsugawa Kohei、Yamamoto Sayuri、Sarper Safiye Esra、Usami Yu、Toyosawa Satoru、Inubushi Toshihiro、Isogai Yukako、Yamashiro Takashi
    • 雑誌名

      Frontiers in Physiology

      巻: 10 ページ: NA

    • DOI

      10.3389/fphys.2019.00698

  • [雑誌論文] Stage- and tissue-specific effect of cyclophosphamide during tooth development2019

    • 著者名/発表者名
      Nakatsugawa Kohei、Kurosaka Hiroshi、Inubushi Toshihiro、Aoyama Gozo、Isogai Yukako、Usami Yu、Toyosawa Satoru、Yamashiro Takashi
    • 雑誌名

      European Journal of Orthodontics

      巻: 5 ページ: 519-530

    • DOI

      10.1093/ejo/cjz002

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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