研究課題/領域番号 |
19K19270
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木村 綾 広島大学, 医系科学研究科(歯), 研究員 (00823197)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フラボノイド化合物 / セメント芽細胞 / 石灰化 / 歯根吸収 |
研究実績の概要 |
初年度ではin vitro実験系にて、フラボノイド類化合物バイカリンの添加がヒト高分化セメント芽細胞株(HCEM)に対する影響について検討を行った。 バイカリン添加がHCEMの増殖能・DNA合成能に及ぼす影響について検討を行ったところ、バイカリン添加群と非添加群との間に有意差は認められなかった。また、バイカリン添加が基質代謝能へ及ぼす影響に関する実験では、ALP、RUNX2、OPG、RANKLの発現レベルについて定量PCR解析および、western blot解析を行ったところ、ALP、RUNX2、OPGにおいてはバイカリン添加群で遺伝子発現量およびタンパク質発現が亢進し、RANKLにおいては抑制された。 続いて、ALP活性定量およびアリザリンレッド染色法を用いた石灰化能の検討に関する実験では、バイカリン添加群において石灰化能の有意な亢進が認められた。 バイカリン添加がHCEMにおけるwnt/βカテニンシグナル伝達経路に及ぼす影響に関しては、Western blot 解析においてバイカリン添加5分後にpGSK3βの亢進が認められ、その後経時的に抑制された。また、wnt/βカテニンシグナル伝達経路受容体阻害剤であるDickkopt-1 (DKK-1) を用いて、基質代謝能へ及ぼす影響を検討したところ、ALP、RUNX2、OPGにおいてバイカリン存在下で遺伝子発現およびタンパク質発現が抑制された。一方RANKL遺伝子発現およびタンパク質発現に関しては抑制される傾向が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度ではフラボノイド類化合物バイカリンの添加がHCEMに対する影響について検討を行い、細胞増殖能、基質代謝能、石灰化能、さらにはシグナル伝達経路の検討まで結果を得ることができ、実験計画の通りに検討が進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらなる検証を重ね、ラット歯根吸収モデルを用いた in vivo 系の実験により、バイカリンの歯根吸収抑制効果について検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費が予定より少ない金額で済んだため。
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