研究課題
in vivo実験系にてラットの上顎門歯と第一臼歯間にクローズドコイルを装着し、門歯を固定源として第一臼歯を近心に移動させ、過度な矯正力 (50 gf) を負荷することで、牽引開始より数日後に上顎臼歯に歯根吸収窩が形成される歯根吸収モデルを作製した。歯の移動のみ行った群 (対照群)、フラボノイド摂取を行った群 (フラボノイド摂取群)、を設定し、比較・検討を行った。歯の移動距離の変化に関しては、実験的歯の移動21日後において、フラボノイド摂取群は対照群と比較して、第一臼歯移動量に有意な変化は認められなかった。組織学的検討では、装置装着3週間後におけるHE染色像において、圧迫側でフラボノイド摂取群および対照群ともに、歯根膜腔の減少及び歯根膜線維の不規則化が観察された。また、歯の移動に伴い、歯根表面から象牙質層にかけて吸収窩が認められた。骨代謝関連マーカーの免疫組織化学染色においては、フラボノイド摂取群、対照群ともに、歯根膜、歯槽骨、および歯根表面にALP、RUNX2、OPG、RANKLの発現が確認された。ALP、RUNX2、OPGに関しては、フラボノイド摂取群は対照群と比較して発現の亢進が認められたが、RANKLに関しては、フラボノイド摂取群において発現の抑制が認められた。歯根吸収面積の検討においては、フラボノイド摂取群では対照群と比較して、歯根吸収面積の有意な減少が認められた。以上の結果より、ラットにおける実験的歯の移動時にフラボノイドを摂取させると骨形成マーカーの発現が亢進し、骨吸収マーカーの発現が抑制されることが明らかとなった。また、歯の移動距離に影響を及ぼすことなく、歯根吸収抑制に効果的であることが示唆された。
すべて 2020
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Arch Oral Biol .
巻: 116 ページ: 104770
10.1016/j.archoralbio.2020.104770