研究課題
若手研究
本研究では、フラボノイド類化合物であるバイカリンに着目し、歯周組織におけるWnt/β-カテニンシグナル経路を介した代謝調節機構について明らかにするとともに、歯根吸収抑制効果について検証した。さらに、矯正歯科治療中に生ずる歯根吸収の発症を安定的に予防する新規治療法を確立することを最終的な目的とし、バイカリンの歯周組織構成細胞における影響およびそのシグナル伝達経路の検討、歯根吸収抑制効果について動物実験による検討を行った。その結果、バイカリンは歯根吸収抑制に効果的であることが示唆された。
歯科矯正学
歯根吸収は矯正歯科治療における副作用のうち、最も高頻度に認められるにも関わらず、発症機序の詳細は解明されていない。歯根吸収のリスク因子は報告されているものの、現在のところ効果的な予防法は存在しない。そこに、健康補助食品としても注目され、広く応用されているフラボノイド化合物を用いる簡便性と安全性が本研究の特徴である。歯の移動におけるフラボノイド化合物の作用機序を解明することは、歯根吸収の発症機序の解明や、歯周組織構成細胞間の相互作用の解明に貢献するため、学術的に高い意義があると考えられる。