研究課題/領域番号 |
19K19273
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西俣 はるか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10755755)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジペプチジルペプチダーゼ / Porphyromonas属 / DPP / 根尖性歯周炎 |
研究実績の概要 |
本研究は,Porphyoromonas属の産生するペプチダーゼである,ジペプチジルペプチダーゼ(Dipeptidyl-Peptidase:DPP)が同菌の病原性に寄与しているのではないか?という着想に基づいており,臨床的にも小児の急性根尖性歯周炎の起炎菌の1つが同属のPorphyromonas endodontalisであるという報告から,DPPと口腔細菌性疾患との関連を検証することを目的として立案したものである. DPPは,口腔内細菌のうち700菌種が発現しており,Porphyoromonas属だけでなく歯肉縁下プラーク細菌にも発現することを本研究前に我々が報告していたが,本研究期間において我々はPorphyromonas gingivalisにおいてジペプチジルトランスポーターPotが同菌の生育に最も貢献していることを見出し,同菌におけるDPPの果たす役割の大きさが明らかとなった. また,ヒトDPP4は細菌DPP4のオルソログであり,我々は細菌DPP4活性がヒトDPP4阻害剤で阻害されること,インクレチンの分解活性を有することを既に報告しているが,一方、他3種のDPP5, 7, 11のオルソログはヒトには無く細菌のみが有している.これら3種がヒトの生理活性ペプチドを分解することで歯周病-全身疾患に関与している可能性があり,今後はまず口腔細菌性疾患患者におけるDPP以外の細菌性ペプチダーゼを含めた酵素活性の検証を基点に,それらの関連性についての探索を進める予定である. 当初の研究計画においては今年度は上記の他に,研究サンプルの収集予定であった.しかし,年度初頭より研究代表者が育休に入ったため研究活動の一時中断を余儀なくされ,実施に遅れが生じている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究代表者の産休(4月-8月)により研究活動が中断した.また,育児による職務中断もあり研究活動に費やすエフォートが一時的に減少した.また,コロナ禍において出席を予定していた学会の中止や会合の禁止に伴い,情報収集の機会が減少し,研究報告の機会も得られなかった.このため本研究課題の進捗に遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
引続き口腔サンプルの収集およびペプチダーゼ活性測定を行い,歯周疾患とDPPの関連性について検討を行う.研究代表者の育児等の事由により今後も研究の進捗に影響が出ることが予想されるため,客員研究員および研究室の大学院生を研究補助とすることで研究活動を円滑に進めるよう取り計らう.本研究成果については,国内外の学会等においてwebを積極的に活用し研究報告を行い,これらのフィードバックを得て,研究の総括を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は育休取得に伴う休職・研究休止期間があった.さらにコロナ禍で学会開催が中止・オンラインとなり,学外関係者等との面会も制限されたため,旅費・人件費への支出が予定より減少した.このため,次年度使用額が生じた. 次年度は育休から復帰し研究再開しているため,web利用の学会参加並びに,感染症の状態で流動的ではあるが,国内での学会参加への経費支出を予定している.また,サンプル解析に伴い,1サンプルあたり1万円程度の費用を物品費から計上見込みである.
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