• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

抑制系とシナプス刈り込みを介した咀嚼筋痛障害の原因の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K19274
研究機関鹿児島大学

研究代表者

古川 みなみ  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00806474)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード咀嚼筋痛障害 / 顎関節症 / 線維筋痛症 / 幼少期ストレス
研究実績の概要

近年、育児放棄や虐待が精神疾患や発達性障害、筋異常疼痛などの発症に関与することが報告されている。しかし、その詳細なメカニズムや原因は不明である。
我々は新生期に正常な神経回路を形成するためにγ-アミノ酪酸(GABA)が興奮性に作用すること、また、ある一定のタイミングで抑制性に機能変化することが必要であることに着目した。そこで、育児放棄モデルで幼少期ストレスの1つである母子分離をマウスに行い、母子分離により、GABA が興奮性から抑制性へ機能変化する GABA スイッチのタイミングが変化するのか、GABA の抑制性に関与し、細胞外にクロライドをくみ出すトランスポーターである KCC2 や、GABA の興奮性に関与し、細胞にクロライドを組み入れるトランスポーターである NKCC1 の発現が変化するのか、抑制系の成熟に関与することが示唆されているシナプスの刈り込みは影響を受けるのかを調査することとした。その結果、母子分離によりGABA スイッチが遅延すること、KCC2 の細胞体周囲の発現は減少するが、NKCC1 の細胞体周囲の発現は母子分離により影響を受けないことを示した。また、抑制系の成熟が正常に行われないことで、シナプスの刈り込みが正常に行われないこともわかった。さらに、思春期相当の時期に行動解析を行い、母子分離により、多動性の増加、認知能力の低下、注意力の低下、攻撃性の増加を認めた。これらの結果により、精神疾患や発達性障害、筋異常疼痛などの発症の予防、改善に、KCC2 や GABA スイッチを介した、抑制系の成熟を標的とした新たな治療法の確立が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

妊娠、出産、育児により研究を一時中断したため、当初の計画と2年程遅れる計画で研究を予定している。
今後の使用計画としては、実験用の動物、試薬、器具等の購入や解析用の費用、学会発表のための旅費等に使用する予定である。

今後の研究の推進方策

抑制系の成熟が正常に行われないことで、シナプスの刈り込みが正常に行われないことが明らかになったことから、抑制系の成熟とシナプスの刈り込みの関係を調査する。さらに、筋異常疼痛の関与領域でのこれらの解明を行い、治療対象領域を限定し、抑制系を特異的に活性化し、筋異常疼痛の消失を確認する。

次年度使用額が生じた理由

妊娠、出産、育児により研究を一時中断したため、当初の計画と2年程遅れる計画で研究を予定している。
今後の使用計画としては、実験用の動物、試薬、器具等の購入や解析用の費用、学会発表のための旅費等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 顎口腔機能の改善が認められた顔面非対称を有する骨格性Ⅰ級ハイアングル症例2022

    • 著者名/発表者名
      才ノ木みなみ,八木孝和,楠元淳也,大賀泰彦,前田綾,宮脇正一
    • 雑誌名

      Clinical and Investigative orthodontics-Japanese Edition

      巻: 81 ページ: 85-92

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 外傷で喪失した上顎左側中切歯の空隙を矯正歯科治療で閉鎖した開咬を伴う骨格性Ⅲ級症例2022

    • 著者名/発表者名
      前田綾,才ノ木みなみ,日野 沙耶佳 ,南 弘之,宮脇 正一
    • 雑誌名

      Clinical and Investigative orthodontics-Japanese Edition

      巻: 81 ページ: 19-26

    • 査読あり
  • [学会発表] 酸刺激時の食道知覚が咀嚼筋活動と嚥下回数に及ぼす影響について2022

    • 著者名/発表者名
      髙橋広太郎, 前田綾, 大賀泰彦,福嶋美佳,中川祥子, 大迫佑季, 古川みなみ,原田真利那, 成昌建, 上村修司, 井戸章雄, 宮脇正一
    • 学会等名
      第81回日本矯正歯科学会学術大会&第9回日韓ジョイントシンポジウム

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi