研究課題/領域番号 |
19K19282
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉澤 光弘 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (40792164)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械的刺激 / 骨細胞 / 骨吸収 / p53 |
研究実績の概要 |
矯正歯科治療において矯正力が負荷されると、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成により歯が移動する。矯正力による歯の移動は、骨細胞が機械的刺激を感知し、破骨細胞や骨芽細胞の機能を制御して生じているが、その詳細なメカニズムは不明である。本研究では、マウスを用いた実験的歯の移動モデルおよび培養骨細胞を用いて、機械的刺激下における骨細胞を介した骨吸収の分子メカニズムの解明を目的とする。 本年度は、圧縮力負荷時における骨細胞のアポトーシスの関与を検討する目的で、6週齢の雄性ICRマウスの頭蓋冠に圧縮力を付加した。頭頂骨を露出させ、頭頂骨に穴を開け、矢状縫合部を跨ぐようにして矢状縫合部に対し垂直な面の水平方向に0.2Nの圧縮力が付加されるようにスプリングを挿入した。対照群にはスプリングは挿入しなかった。0、3、6時間の圧縮力負荷後、全身麻酔下で 4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定を行った。頭蓋骨を摘出後、通法に従い脱灰、脱水処理を行い、パラフィン包埋ののち厚さ5μmの水平断連続切片を作成した。得られた組織切片を用いてアポトーシス細胞を同定するためにTUNEL染色を行い、連続切片を用いてp53に対する免疫染色を行った。その結果、p53のタンパク質発現量は、圧縮力負荷3時間後に対照群と比べ有意に上昇し、TUNEL染色における陽性細胞の割合は圧縮力負荷6時間後に対照群と比べ有意に上昇した。さらに、骨細胞様細胞MLO-Y4をシリコンチャンバーに播種後、生化学用細胞伸展装置を用いてMLO-Y4に圧縮力を負荷し、in vitroにおける骨細胞への圧縮力負荷モデルを確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
6週齢の雄性ICRマウスの頭蓋冠にスプリングを挿入するマウス頭蓋冠圧縮力負荷モデルを作成し、in vivoにおいてメカニカルストレス応答を観察できるようになった。また、in vitroにおける骨細胞への圧縮力負荷モデルを確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に確立したMLO-Y4細胞への圧縮力負荷モデルを用いて、in vitroにて骨細胞へ圧縮力を負荷し、TUNEL染色を行い骨細胞のアポトーシスを検討する。さらに、圧縮力負荷後、経時的にRNA およびタンパク質を抽出し、p53、アポトーシス関連因子等の発現を定量的 RT-PCR およびウェスタンブロット法を用いて定量的解析を行い、骨細胞における機械的刺激負荷によるアポトーシスに対するp53の関与を検討する。 これまでに得られた結果を検討し、メカニカルストレスを負荷した際に生じる骨細胞のアポトーシスと p53 の役割について論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、in vivo、in vitroの実験をほぼ予定通り行うことができたが、in vitroの実験での圧縮力負荷後の経時的な検討を行うことができなかった。次年度以降に、本年度確立したin vitroでの圧縮力負荷方法を用いて、in vitroにおけるさらなる解析を行っていく予定である。
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