研究課題
チタン合金、酸エッチングチタン合金、Ca修飾チタン合金、酸エッチングCa修飾チタン合金の4種金属組成のスクリューについて生体埋入実験を行った。実験動物として10か月齢のビーグル犬を4匹用い、スクリュー埋入8週後に全身麻酔下において、トレフィンバーを用いてスクリュー1本を含む骨ブロックを摘出した。摘出した骨ブロックに対し樹脂包埋を行い、スクリューの長軸方向と垂直に、ミクロトームを用い、厚さ100μmの非脱灰切片を作製した。骨ブロック摘出10日前にカルセイングリーン、3日前にテトラサイクリンの静脈内投与を行い、生体染色により1日における新生骨の形成率であるMARおよび骨形成速度であるBFRの測定を行った。続いて切片をビラヌエバ骨染色試薬にて染色を施し、光学顕微鏡による観察を行い、骨形態計測(スクリュー周囲と周囲骨との接触率BIC、およびスクリュー周囲から240μmの骨の面積比率BAの2種類の項目の計測)を行った。その結果、酸エッチングCa修飾チタン合金スクリュー周囲には他のスクリューより新生骨形成が有意に多く認められた。骨形成速度を表すMARとBFRに関しても、酸エッチングCa修飾チタン合金スクリュー埋入周囲骨が有意に高い値を示した。さらに上記のビーグル犬について、スクリュー埋入前、埋入2、4、6、8週後に左後足伏在静脈より3.5mlの血液採取を行い、ICP-MSにより血液中の含有元素(Ca、Ti、Al、V)濃度の測定、比較を行うことにより生体への安全性を評価した。血液内含有元素濃度測定結果より、全てのスクリューとコントロール群(スクリューを埋入を行っていない群)間において有意差は認められなかった。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Materialia
巻: 12 ページ: 100801
10.1016/j.mtla.2020.100801