研究課題
肥満は慢性炎症などの代謝異常を介し糖尿病や心血管疾患のリスクとなるだけでなく、歯周炎などの口腔内領域の疾患と関連している。肥満小児人口の増加と矯正治療の一般化に伴い、肥満を有する小児に対して矯正歯科治療を行うケースが増加している。肥満小児に対する矯正歯科治療の症例増加に伴い、合併症や治療困難例が報告されている。しかしながら、矯正学的歯の移動に関する知見は極めて乏しい。特に小児に於いては、治療経過中の成長発育を勘案する必要があり、これらの知見を明らかにすることは治療方針を適切に裁定するうえで重要である。最近の研究により肥満とアディポサイトカイン系代謝異常の関連が明らかになっており、これらの知見を先進的に口腔領域に応用することが可能である。研究の全体構想は、「肥満が矯正歯科治療に与える影響を解明する」ことであり、具体的な目的は「肥満によるアディポサイトカイン系代謝異常と、成長期ラットの矯正学的歯の移動および肥満回復群の矯正学的歯の移動に与える影響とその臨界期を解明する」ことである。昨年度は単純性肥満モデルであるZucker fatty rat及びそのコントロールラットを使用し検討を始め、基礎的データの取得に加え電気生理学的解析及び組織学的解析を行った。本年度はデータの取得を進めると共に昨年度行った結果の解析を行う。解析は、電気生理学的解析に関し、フーリエ変換を使用した、筋疲労解析を追加する予定である。
4: 遅れている
新型コロナウィルス感染症予防のため、実験できない期間やラットを飼育できない期間があった。また、Zucker fatty ratの納品が混雑の為、即座にされなかった。
Zucker fatty ratの予約を早めに行い、実験を進めることとした。飼育を長期間行わずに済む実験方法を検討し、顎運動の計測等を中心に研究を進める。
研究計画に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。次年度は研究の実施に加え、発表を行う
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European Journal of Neuroscience
巻: 55 ページ: 5~17
10.1111/ejn.15547