歯根膜は周囲を硬組織に囲まれた非石灰化組織であり、咬合力を受け止める緩衝領域と機能しながら、歯周組織の恒常性維持の中心的役割を担っている。対合歯抜去による咬合力負担の喪失など、力学的刺激を失った歯根膜は廃用性萎縮を起こし、その機能を十分に発揮できなくなることは知られている。それにもかかわらず、力学的刺激を歯根膜はどのような機序で受容し、どのようなプロセスで歯周組織のリモデリングをコントロールしているのかについて、その詳細は未だ不明である。本研究は、歯根膜組織の力学的負荷受容メカニズムの一端を明らかにすることで、歯根膜の維持や再生を可能とする治療法の基礎となるものである。
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