胎生時期特異的にRdh10の機能を阻害したマウスでは、発生中の前頭鼻突起でのRAシグナルの実質的な低下をもたらし、正中顔面裂や切歯の形成異常といった顎顔面領域の異常が生じることを示した。また正中顔面裂の発症は発生中の前頭鼻突起内の頭部神経堤細胞でのアポトーシスの増加やAlx1およびAlx3転写の実質的な減少と関連すること、Shhシグナルの制御を誤ると正中顔面の形成異常に関与するRAシグナルの低下を引き起こす原因となることが示された。以上より、正中顔面の発生には胎生初期特異的で部位特異的なRdh10とRAシグナルが重要な機能を果たし、分子および細胞レベルでの調整が必要であることが明らかとなった。
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