矯正歯科治療時に生じる歯根吸収に対して、アセトアミノフェンがどのようなメカニズムによって効果をもたらすか解明するため、機械的伸展刺激存在下における歯髄細胞の発現する様々な因子に及ぼすアセトアミノフェンの影響を検討した。その結果、アセトアミノフェンは伸展刺激を負荷した歯髄細胞における炎症性サイトカインや破骨細胞分化因子の発現を、COXを阻害することにより抑制することが明らかとなった。さらにラットを用いた組織学検討において、歯の移動時の根尖部歯髄組織における炎症反応に対して、アセトアミノフェンがその反応を抑制させることが示唆され、矯正歯科治療中における歯根吸収を抑制する可能性を見出した。
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