骨髄液とは異なり、臍帯はその採取が極めて容易で、患児や母体に対する侵襲性もないため、臨床応用を想定した時の利便性に優れている。また、従来MSCsの培養にはウシ胎仔血清(fetal bovine serum: FBS)含有培養液が多用されているが、FBSの使用は、プリオンや病原性ウイルスなどの未知の感染因子の混入や免疫反応などのリスクを伴う可能性がある。異種成分を含まない(ゼノフリー)無血清培養臍帯由来幹細胞を使用した顎裂部骨再生の臨床応用が可能となれば、唇顎口蓋裂児のQOL向上に繋がる。本研究で得られた知見は、唇顎口蓋裂以外の歯槽部骨欠損の再建を目的とした歯科の再生医療においても有用である。
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