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2019 年度 実施状況報告書

顎顔面領域に存在する神経堤由来細胞による顎裂部骨移植術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K19303
研究機関昭和大学

研究代表者

吉田 寛  昭和大学, 歯学部, 助教 (20823074)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード神経堤由来細胞 / 鼻甲介 / 細胞移植 / 硬組織再生
研究実績の概要

顎裂部骨移植術の新たな基盤技術を作り出すため、マウス鼻甲介に含まれる神経堤由来細胞を、部分的に頭蓋骨を欠損をさせたマウスへ移植した。鼻甲介由来神経堤由来細胞を含ませたスキャフォールドを移植した群とスキャフォールドのみ移植した群と比較し、頭蓋骨の再生について組織染色を用いた組織解析およびラマン分光法を用いた組織構造解析を行った。研究当初では、サンプル数を十分に集めることに苦慮したが、2019年度では、サンプル数の追加が可能となった。
結果として、神経堤由来細胞を含んだスキャフォールドを移植した群では、スキャフォールドのみを移植した群よりも、骨に類似した組織構造的特性を持つことを明らかにした(未公開データ)。過去の研究では、iPS細胞を用いた頭蓋骨再生についての論文は散見され、さらに神経堤由来細胞を用いた研究に関しても近年報告が増加しているものの、再生組織に対する組織構造解析についての報告はいまだ報告が少ない。鼻甲介から採取可能な神経堤由来細胞は、成体から採取できる未分化間葉系細胞のソースとして非常に有用であり、将来的に、低侵襲的かつ自家移植材料として使用できる数少ない生体材料となりうる。
本研究によって鼻甲介に含まれる神経堤由来細胞の硬組織再生の新たな基盤技術が確立されることで、口蓋裂患者に数多くみられる鼻閉の原因となる下鼻甲介の下垂に伴う切除や、慢性的な鼻炎の影響による鼻粘膜肥厚に対する低侵襲な神経堤由来細胞採取が可能となり、成長段階で必要となる顎裂部骨移植術に対する細胞ソースとなりうる。
研究計画の概略として、スキャフォールドの検討、修復骨で特異的に発現する遺伝子の検索、特異遺伝子を用いた神経堤由来細胞の骨芽細胞分化誘導の最適条件の検討、口蓋裂マウスへの骨移植を計画している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在まで、マウス頭蓋骨に鼻甲介由来神経堤由来細胞を移植し、サンプル数を増加させた。増やしたサンプルに関してのデータ解析が終了したが、統計学的有意差を考慮した際に、サンプル数をさらに増加させる必要がある。
また、計画予定であるDNAマイクロアレイ法による遺伝子発現解析や、移植後の骨誘導能の評価、口蓋裂モデルマウスへの移植に関しても進捗準備が遅れている。

今後の研究の推進方策

1. DNAマイクロアレイ法を用いた遺伝子解析と特異的に発現する遺伝子の検索:現在までの解析を終了したデータに関して論文投稿を行い、同様の方法によって移植された神経堤由来細胞が修復した骨組織に対してDNAマイクロアレイ法を行い、特異的に発現する遺伝子の検索を行う。
2. 種々のスキャフォールドを用いて高効率な骨組織形成の条件検討:単一のスキャフォールドだけでなく、材質、形状について再度検討、移植実験を行う。
3. 口蓋裂モデルマウスへの神経堤由来細胞移植:口蓋裂モデルマウスに関しては、マウスの歯槽骨のみでの顎裂作成は難しいものの、口蓋に人為的に裂を作成する方法は可能と考えられる。1,2.から得られたデータを用いて効率的な顎裂部骨移植法を確立する。

次年度使用額が生じた理由

次年度での使用目的の一つに、マイクロアレイ法を用いた網羅的遺伝子発現解析、口蓋裂モデルマウスの作成など、高額な費用を必要とする実験が挙げられる。現在までの実験の進捗においては、方法論としての実験計画を遂行しており、高額な研究を行うまでに至っていない。本年度より、上記のマイクロアレイ法や口蓋裂モデルマウスの作成などの高額な費用を必要とする実験を行う予定であり、次年度使用額が生じている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Prospects of neural crest-derived cells from oral and dentofacial tissues for application in regenerative medicine2020

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Suzawa, Hiroshi Yoshida
    • 雑誌名

      Oral Science International

      巻: 17 ページ: impress

    • DOI

      10.1002/osi2.1064

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-01-27  

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