矯正歯科治療における歯の移動では、移動方向の歯根膜が圧迫され、反対側の歯根膜は牽引される。これまでの研究では、歯の移動時の牽引側歯根膜では歯根膜繊維の再構成、骨添加などの組織リモデリングが起こることが想定されるが、報告は少なく不明な点が多い。組織リモデリングには栄養供給源として新たな血管すなわち血管新生を必要とするが牽引側歯根膜における血管新生の報告は限定的であり、明らかになっていない。牽引側歯根膜の血管新生メカニズムの解明は、血管制御を通して、組織リモデリングの制御を可能とする。医療分野において、組織リモデリング制御が可能になれば、体の部位に限らず損傷治癒治療の治療期間の短縮をもたらす。
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