研究課題
若手研究
近年、第一大臼歯、切歯といった特定の歯種に限局して生じる形成異常(Molar-incisor malformation; MIM)が明らかとなったが、その原因は不明である。本研究では、MIMと診断されたヒト抜去歯を用いた実験で、MIMに現れる歯髄腔の異所性石灰化を確認し、その特徴を免疫染色および特殊染色により明らかにした。また、マウス歯乳頭由来細胞株を用いた一連の実験を行い、MIMの異所性石灰化の原因として、第一大臼歯および切歯が形成される時期の環境因子が関与している可能性が示唆された。
小児歯科学 歯の発生
Molar-incisor malformation(MIM)のような形成異常を呈する歯は、保存が困難となり早期に抜歯が必要となる場合があり、成長発達期である小児においては健全な口腔機能の獲得に不利となる。本研究により、MIMの歯に現れる異所性石灰化の原因として、第一大臼歯や切歯の形成時期である出生時や出生後早期の環境因子が関与している可能性が示唆された。この成果は、MIMの原因解明へ向けた端緒となると考えられる。