研究課題
研修医による指導医の客観的な評価が、指導医の教育能力の向上につながることから、指導医の質の担保において有用であることがわかっている。しかし、歯科領域では指導歯科医の評価法が確立していないため、指導歯科医評価法の確立を目的として、「日本版臨床研修指導歯科医評価表」の開発を行うことが求められている。本研究の目的は「日本版指導歯科医評価表案」の作成に先立ち、「日本の臨床研修歯科医にとっての優れた指導歯科医像」を、研修歯科医を対象とした質的な研究によって明らかにすることである。2020年度までに本院研修歯科医を対象として実施したフォーカスグループインタビューを2021年度、2022年度は対象者を他施設で研修修了直後の歯科医師に拡大するため、コロナ禍のため対面でのインタビュー実施を断念し、Zoomを用いて各回約1時間実施した。半構造形式のフォーカスグループインタビューは優れた指導歯科医の特徴に焦点をあてて実施した。2020年度までに実施したインタビュー結果を含め、すべてのフォーカスグループの議論を匿名化し、各トランスクリプトを作成した。インタビューは計9回38名に実施し理論的飽和に達した。作成されたトランスクリプトは2人の研究者によって個別に読まれ、9回のインタビューから376の発言が抽出され、44のテーマに分類した。医科領域における先行研究で分類に引用されることの多い、Sutkinの分類(教育者、医療者、人間性)を基盤として、この44のテーマを分類した。また、研究開始時の1施設から施設数を増やしたことで新たなテーマが認められたことから、対象施設の増加は優れた指導歯科医の特徴をより網羅的にとらえることにつながった。
2: おおむね順調に進展している
2019年度、2020年度にCovid-19の影響により対面でのインタビュー実施がスムーズに実施できない時期が生じた。その後、Zoomを用いたインタビュー実施も行う方針を切り替えることとしたことに伴い研究計画に変更が生じたため、倫理審査の内容変更申請が必要となった。研究内容変更の承認に時間を要したため、研究期間を1年延長することとした。2022年度以降の進捗としては概ね予定通りに進んでいる。
2023年度は最終年度として、「日本の臨床研修歯科医にとっての優れた指導歯科医像」に関する研究成果を学会での発表ならびに論文作成・発表を行う。また、次年度以降に実施する継続研究の内容となる「日本版臨床研修指導歯科医評価表」の開発に向けての準備を進めていきたい。
Covid-19の影響で研究計画が遅れているためまだ取り組めていない研究に必要な経費が未使用の状況である。具体的には、成果発表のための学会旅費、ならびに論文作成に際しての英文校正費、論文掲載料を予定している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件)
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