研究課題
若手研究
日本で学童期にもっとも多い疾患はう蝕であり、子ども期の対策は喫緊の課題である。家庭環境は子どもにとって最も身近な社会環境である。しかしながら、家庭機能とう蝕の関連はあまり研究されてこなかった。本研究は東京都足立区の小学生とその保護者を対象に調査を実施し統計的に解析することで、家庭機能が子どものう蝕に関連し、家庭での親子の関わりが子どもの非認知スキルを育み健康的な行動を取りやすくなることでう蝕を抑制する可能性を明らかにした。
歯学、疫学
本研究により家庭機能が子どものう蝕に関連することが明らかになった。さらに、家庭でのポジティブな関わりにより子どもの非認知スキルが育まれ、良好な口腔保健行動を介してう蝕を予防する可能性が示された。家庭の社会経済状況が子どものう蝕に関連することは多くの研究が示しているが、有効な介入手段は確立されていない。家庭機能は改善可能であり、本研究でう蝕予防の手段となりうることが示された意義は大きい。この結果をもとに、将来的な介入手段の確立を見据えたさらなる研究が必要だろう。