研究課題/領域番号 |
19K19312
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅井 啓太 京都大学, 医学研究科, 助教 (10646376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教育歴 / 抑うつ状態 / 喪失歯数 |
研究実績の概要 |
学歴の低下と抑うつ症状が相互作用して、個々の影響の合計を超えて歯の喪失への影響を悪化させる可能性があると仮定した。我々は、本研究にて地域住民の歯の欠損数に対する学歴と抑うつ症状の独立した相互作用の影響を明らかにすることを目的とした。 方法:一般的な日本人集団から9,647人の断面データを収集した。歯科検診は訓練を受けた歯科医が行った。学歴は、教育を受けた年数を9年以下、10年~12年、13年以上の3つのレベルに分類した。 抑うつ状態は、Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)を用いて測定した。CES-D合計点数16以上あるいは抗うつ薬や抗不安薬の使用有りを抑うつ症状有りとした。 結果:従来の危険因子を調整した多変量分析では、学歴は喪失歯数の独立した決定要因として特定された。(教育年数13年以上をreferenceとし、教育年数10年~12年:Coefficient= 0.178; 95%信頼区間[CI] = 0.149 to 0.207、P <0.001;教育年数9年以下:Coefficient= 0.292、CI = 0.259 to 0.326、P <0.001)。相互作用項(教育年数カテゴリ×抑うつ状態有無)を含む分析では、「教育年数9年以下」と抑うつ状態有無により喪失歯数との関係が異なり、正の相互作用の関連性が示された(教育> 12年:Coefficient for interaction= 0.233、CI = 0.168 to 0.299、P for interaction <0.001)。 結論:これらの調査結果は、日本の一般集団における歯の欠損数に関する学歴と抑うつ症状との間に独立した有意な関連と部分的な相互作用の関連が存在することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究結果をもとに、英語論文1本を作成し、海外journalに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
顎関節症は単一の要因によって引き起こされるのではなく、社会学的要因、生物学的要因、および心理的要因の併存疾患が重複する複雑な障害であることが認識されている。本年度の研究として、長浜スタディ第1期に収集された大規模な疫学調査のデータを用い、顎関節症の症状と心理社会的要因との関係を調査する研究が現在進行中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、本年度結果を元に2本目の英語論文執筆中であり投稿間近である。本来は、本年度中に2本目の論文を投稿予定であったが、論文投稿がやや遅れている状態である。論文投稿に関連する英文構成費や採択時に必要な費用が、次年度使用額として生じたと考えられる。次年度は、当初予定していた研究に合わせて、本年度の論文投稿を行う予定で ある。
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