研究課題/領域番号 |
19K19323
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
横田 悠里 (矢島悠里) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (50803219)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Sarcopenic Dysphagia / サルコペニア / 嚥下造影検査 |
研究実績の概要 |
近年Sarcopenic Dysphagiaが関心を集めているが、診断基準に対する検討は十分ではなく、特に診断基準の摂食嚥下機能障害や舌圧に対するリハビリテーション介入による効果に関する報告は少ない。そこで、摂食嚥下障害を有する高齢患者におけるサルコペニアの存在と摂食嚥下リハビリテーションの介入効果を検討することを目的として調査を実施した。摂食嚥下障害を主訴に来院した患者のうち、頭頸部がん、神経変性疾患を除く41名(男性28名、女性13名、平均年齢81.7±7.6歳)を対象とした。測定項目は、四肢骨格筋量(Skeletal muscle mass index : SMI)、摂食嚥下機能:Functional Oral Intake Scale(FOIS)を用いた。そのほか舌圧、嚥下造影検査(VF)による咽頭腔断面積、舌骨移動量:前・上方、甲状軟骨移動量:前・上方の測定を行った。初診時および摂食嚥下リハビリテーションを実施した半年後に測定を行い変化率を算出し、線形回帰分析による検討を行った。初診時のSMIと各測定項目との関連では、性別(p<0.00)、年齢(p<0.05)および咽頭腔断面積(p<0.05)において有意な関連を認めた。半年後のSMI変化率と各測定項目変化率との関連では、甲状軟骨の前方移動量変化率(p=0.036)に有意な関連を認めた。初診時のSMIと咽頭腔断面積において有意な関連を認めたことは、過去の報告とも同様の結果であり、加齢に伴う全身的な筋肉量の減少とともに咽頭筋も減少し、咽頭腔断面積が増大することが考えられた。半年間の摂食嚥下リハビリテーションを実施したもののうち、SMIが増加したものは、甲状軟骨の前方移動量も増加した。本研究結果から、SMIの減少を防ぎ、増加を行うことが摂食嚥下リハビリテーション効果の向上に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言もあり、通院している対象者が減少し対象期間や検査方法などに制限が生じたことと、当初予定していた対象者のリハビリテーション継続が困難であったため進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査では、サルコペニアと診断された者に対して群分けを行い、能動的な摂食嚥下リハビリテーションと受動的な摂食嚥下リハビリテーションの介入を行うことによって、リハビリテーション効果を検証することが目的であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大もありリハビリテーションを継続することが困難であったものも多く、対象者が減少した。群分けによるリハビリテーション介入の効果を検証するためにも、引き続き横断研究の対象者数増加を図りながら介入調査を実施、検討し成果報告を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大もあり、発表予定であった学会の延期やweb開催による旅費が不要になったことがあげられる。また、緊急事態宣言による診療の順延によって対象者も減少しているため、引き続き対象者の増加を図るため介入調査に必要な物品購入を予定している。
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