研究課題
本研究は、本邦に限らず世界中で重要な問題となっている増加する認知症患者および認知機能低下者について、歯科的な観点から検討を行うものである。認知症予防については、様々な認知症ステージに関して介入可能性が挙げられるが、本研究では早期または軽度の認知機能低下に焦点をあて、歯科的因子がそれらに関連しうるか検討を行うこととしている。本研究における本コホートの特徴は、対象年齢が50歳以上と中年期参加者の口腔状態および認知機能を測定できることにある。検診の着実な実施によりサンプルサイズの拡大を図り、多角的な解析を行うことを目標とする。今年度は、岩手県花巻市大迫地区の50歳以上地域一般住民に対して、歯科検診を2019年11月から2020年2月(4回)にかけて実施をした。91名の地域一般住民が検診を受診した(男性:35名、平均年齢:69.6歳)。MMSEを用いた認知機能検査を実施し、歯科検診項目は現在歯数などの口腔内診査に加えて、口腔関連QOLなどの聞き取り調査、口腔湿潤度検査、舌苔に付着した細菌数、グミを用いた咀嚼能力検査、舌圧計を用いた舌圧測定、デンタルプレスケールを用いた咬合圧検査を実施した。検診受診者に対して、上記測定項目の結果についてフィードバックを行い、口腔保健指導を実施をした。歯科治療が必要な方については、かかりつけ歯科医をつくり、歯科治療を受ける旨の受診勧奨を行った。検診より得られた結果は匿名化処理を施したうえで、蓄積されたデータベースに追加することで、データベースの拡大に寄与した。
3: やや遅れている
概ね順調に進んでいるが、昨今の世界、国内情勢を受けて、2020年2月下旬の検診を中止することとなった。非参加者は来年度の受診に振り分けられる予定である。
今後も検診の実施により、サンプルサイズの確保に努める予定である。また、蓄積されたデータベースより統計解析を進める。検診項目については2019年度と同様の予定で、引き続き口腔診査による現在歯数等の口腔状態、聞き取り調査による口腔関連QOL、口腔内細菌数、口腔湿潤度、咀嚼能力、舌圧および咬合力を測定する予定である。認知機能検査についても同様に実施する。統計解析は年齢で層別化をし、どの様な歯科的指標が認知機能低下に関連するのか、年齢層によって認知機能と関連する歯科的指標に違いを認めるか、に着目して実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Clinical Oral Investigations
巻: in press ページ: -
10.1007/s00784-019-03072
Journal of Prosthodontic Research
10.1016/j.jpor.2019.08.005