研究課題
大迫研究に参加した55歳以上の地域一般住民のデータを用いて、口腔保健指標と認知機能との関連を横断的に検討した。口腔保健指標は、現在歯数(0歯、1-9歯、10-19歯、20歯以上)、咬合支持(Eichner分類)、歯科定期受診の有無、舌圧、グミゼリーを用いた咀嚼能力、咬合力とした。舌圧、咀嚼能力、咬合力は口腔機能低下症のカットオフ値を用いてそれぞれ良好、低下と定義した。認知機能低下は、Mini Mental State Examination(MMSE)を用いて測定した。年齢、性別で調整したロジスティクス回帰分析の結果、認知機能低下のオッズ比は、舌圧低下および歯科定期受診なし群において有意に高値を示すことが明らかになった。現在歯数、咬合支持、咀嚼能力、咬合力は認知機能低下との有意な関連は示されなかった。年齢で層別化した解析においては、65歳未満においては認知機能低下と関連する口腔保健指標は示されなかった。65歳-74歳の参加者においては歯科定期受診は認知機能低下と関連する傾向を示したが、現在歯数、咬合支持、舌圧、咀嚼能力、咬合力は有意な関連を示さなかった。75歳以上の参加者において、咬合力低下は認知機能低下と関連する傾向を示したが、現在歯数、咬合支持、歯科定期受診の有無、舌圧、咀嚼能力は認知機能低下との有意な関連は示されなかった。本研究において不良な口腔保健指標は認知機能低下と関連することが明らかになり、高齢期の早期の段階においても、不良な口腔保健指標が認知機能低下と関連する可能性が示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Periodontal Research
巻: 57 ページ: 615~622
10.1111/jre.12990