歯周病原菌による気管支炎や誤嚥性肺炎の重症化は大きな問題である。本研究では,歯周病原菌が放出する『細胞外分泌小胞』に着目し,肺胞上皮細胞に与える障害性について解析を行った。Porphyromonas gingivalisから『細胞外分泌小胞』を回収し,培養肺胞上皮細胞株A549に作用させ,その影響について調べた。その結果,歯周病原菌が放出する『細胞外分泌小胞』は,歯周病原菌固有の病原因子を豊富に含むこと,培養肺胞上皮細胞にアポトーシスを誘導し,接着機構に障害をもたらすことを明らかにした。以上より,歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』が気道や肺の上皮組織の炎症や破壊に関与する可能性を示した。
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