研究課題
クローディン(CLDN)-4の発現は、さまざまな癌の悪性腫瘍と関連している。CLDN4の発現を口腔扁平上皮癌(OSCC)で調べたところ、57例中22例(39%)が核内に免疫反応性を示した。核CLDN4陽性の症例は、陰性の症例よりも癌の進行との強い相関を示した。腫瘍内嫌気性細菌DNA検査により、ウェルシュ菌陽性症例の81%で核CLDN4の発現が明らかになった。ヒト口腔扁平上皮癌細胞株HSC3およびHSC4をウェルシュ菌エンテロトキシン(CPE)で処理すると、CLDN4核移行が誘導され、上皮間葉転換(EMT)、幹細胞性、細胞増殖および浸潤能が増強された。さらに、CPE処理により、YAP1のリン酸化が抑制され、YAP1核移行が促進され、サイクリンD1と結合組織成長因子などYAP1標的遺伝子の発現が増加した。さらに、YAP1、CLDN4、ZO-2の複合体がCPE処理によって形成され、LATS1によるYAP1のリン酸化をさらに抑制してYAP1を活性化することが明らかになった。したがって、OSCCでのYAPの活性化は、OSCCの悪性形質を促進する上で重要であると見なされた。このような知見は、口腔衛生による経口嫌気性細菌の制御がYAPの活性化を抑制し、ひいては腫瘍の進行を抑制する可能性があることを示唆している。
1: 当初の計画以上に進展している
口腔嫌気性菌の口腔扁平上皮癌の悪性形質促進作用の機序を明らかにすることができた。
口腔内嫌気性菌を抑制する上で効果的な口腔衛生法を検討する。
残額は次年度消耗品に使用する。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
Oncotarget
巻: 11 ページ: 309~321
10.18632/oncotarget.27424
International Journal of Molecular Sciences
巻: 21 ページ: 7149~7149
10.3390/ijms21197149
巻: 21 ページ: 3877~3877
10.3390/ijms21113877
巻: 11 ページ: 3712~3722
10.18632/oncotarget.27759
巻: 21 ページ: 3840~3840
10.3390/ijms21113840