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2019 年度 実施状況報告書

電動歯ブラシの振動が歯肉の炎症の予防に及ぼす影響についての基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K19335
研究機関日本大学

研究代表者

中井 久美子  日本大学, 歯学部, 助教 (50736725)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード電動歯ブラシ / 歯周病 / 歯肉線維芽細胞 / コラーゲン
研究実績の概要

8020運動により20本以上の歯を有する高齢者の割合は増加傾向にある。それに伴い歯周病と判定される4mm以上の歯周ポケットを有する高齢者の割合も増えており,歯周病はいまなお口腔の健康を考えるにあたり重要な研究課題であるといえる。
そこで,電動歯ブラシの使用により歯肉の炎症や出血が軽減する疫学研究に着目し,日常の口腔清掃の際に,電動歯ブラシを用いることで健常者の歯周病予防だけでなく,上手く手用歯ブラシを用いることの出来ない高齢者や障害者の人たちの病状の軽減を図れるのではないかと考え,電動歯ブラシの振動が歯肉炎の改善に寄与するメカニズムを検討した。この研究を進めることで,自身の日々のセルフケアによる健康を保持するための基礎的な知見の獲得を目指す。
線維芽細胞に電動歯ブラシによる振動刺激を加え,細胞の増殖およびコラーゲン性細胞外基質タンパク (Ⅰ,Ⅲ 型コラーゲン),非コラーゲン性細胞外基質タンパク (エラスチン,HIF:Hypoxia Inducible Factor, ヘパリン)など細胞外基質タンパクの合成への影響をin vitroレベルで調べた。
本研究では、歯肉線維芽細胞としてヒト口腔組織由来のHOrF細胞を電動歯ブラシで刺激すると、Ⅰ型およびⅢ型コラーゲン,エラスチン,HIF,ヘパリンの発現は刺激回数が増えるにつれて増加傾向が認められた。
以上の結果から,電動歯ブラシによる振動刺激は,歯肉線維芽細胞のコラーゲン性細胞外基質タンパクや非コラーゲン性細胞外基質タンパクの発現増加を介して,歯周組織の形成を促進する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記に記載した今年度の研究実績は,令和元年度の研究計画にほぼ到達している。
電動歯ブラシの刺激で,コラーゲン性細胞外基質タンパク(Ⅰ,Ⅲ 型コラーゲン),非コラーゲン性細胞外基質タンパク (エラスチン,HIF:Hypoxia Inducible Factor, ヘパリン)の発現増加が認められた。すなわち,電動歯ブラシの振動が歯肉繊維芽細胞に直接作用することで歯周組織形成に影響を及ぼすのでは,という研究計画時の仮説を支持する興味深い結果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

歯肉組織の細胞成分の約8割を占める線維芽細胞は,コラーゲンやエラスチンおよび糖タンパクなど細胞外基質タンパクを合成する一方で, matrix metalloproteinases(MMP)やそれらの内因性の阻害剤であるtissue inhibitor of metalloproteinases (TIMP)を活性化させることで歯肉結合組織のリモデリングにおいて中心的な役割を担っている。
菌の侵襲を受けた歯肉組織は,これらのリモデリングが破綻することで,より炎症性細胞の浸潤が進み歯周病を増悪させる。
そこで2年目は,線維芽細胞に電動歯ブラシによる振動刺激を加え,MMPやTIMPの活性化による歯肉結合組織のリモデリングへの影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

理由:キャンペーンなどを利用し、消耗品が当初の予定より安く購入することができた。また、コロナの影響で注文していた商品が年度末までに届かなかった事により次年度使用額が生じた。
使用計画:次年度の繰越金は令和2年度の助成金と合わせて消耗品や、学会発表における旅費と参加費および論文の英文校正費として使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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