研究実績の概要 |
抗菌薬適正使用推進のための手引き(以下、手引き)を院内導入した後、高知大学医学部附属病院(以下、当院)における2020年度のペニシリン系、第3世代セファロスポリン系、マクロライド系、キノロン系の4系統における外来経口抗菌薬の使用密度AUDおよび使用日数DOTを算出した結果(括弧内は2019年度データ)、ペニシリン系はAUD:44.7(46.6) 、DOT:46.9(49.6)、第3世代セファロスポリン系は、AUD:30.1(37.2)、DOT:35.2(42.9)、マクロライド系は、AUD:199.4(220.7)、DOT:212.1(249.0)、キノロン系は、AUD:53.0(54.0)、DOT:59.0(59.6)であり、いずれの系統においてもAUD、DOTともに減少した。特に、第3世代セファロスポリン系およびマクロライド系では、有意な減少(Fisher exact test, p<0.05)を認めた。また、2020年度の当院延べ外来患者240,966名のうち感染症関連の保険病名登録は240,966名(100%)であり、使用目的が客観的に不適正と判断された症例として診療報酬請求上の査定および返戻事例が72名(0.03%、増減率:-0.4%)、風邪症候群への使用が全体の216名(0.09%、増減率:-0.55%)であり、前年度と比較して不必要使用症例数は減少した。また、4系統の外来経口抗菌薬AUDにおける薬剤費は、薬価ベースで2019年度が9,356,958円、2020年度が9,199,908円であり、結果、157,050円の薬剤費の削減が可能となったことから、手引き導入の有用性が示唆された。さらに、高知県医療関連感染対策地域支援ネットワーク会議との協働で外来経口抗菌薬調査・解析プラットフォームを作成し、本稼働に向けて順次県下医療機関への仕様説明を行っている。
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