研究課題/領域番号 |
19K19371
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
石田 開 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁環境研究室, 研究員 (40745105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電磁環境 / 電磁ノイズ / 医療機器 / 医用テレメータ / 無線通信 / スペクトラムアナライザ / 400 MHz帯 |
研究実績の概要 |
本研究は、良質な医療電磁環境の確立を可能にすることを目標とし、医療機器および無線通信機器等の電磁両立性の検討、ならびにそれらが使用される医療環境の評価を簡易的におこなう手法について検討をおこなうことを目的とする。令和元年度は以下の成果を得た。 〇医療機関で使用される無線通信が400 MHz帯の医用テレメータに与える影響の評価 400 MHz帯を使用する医用テレメータに対する他の無線通信で使用される電磁波からの影響を、実機を用いて評価した。特に医療機関でも導入される可能性のある、徘徊検知システムからの影響について詳細に検討をおこなった。本成果は2020年電子情報通信学会総合大会にて発表をおこなった。 〇医用テレメータに搭載された簡易スペクトラムアナライザ機能についての基礎的検討 医療現場における電磁環境を簡易的に測定・評価する手法として、医用テレメータの受信機(生体情報モニタ)に搭載されている簡易スペクトラムアナライザ機能の有用性について検討を実施した。簡易スペクトラムアナライザ機能は概ね実際のスペクトラムアナライザと測定値では相関があることを明らかにした。一方、実際のスペクトラムアナライザのように、測定パラメータの変更は一切不可能であり、測定可能な周波数も医用テレメータが使用する420 MHz帯および440 MHz帯に限定されているため、詳細な検討には不向きであると考えられた。また、生体情報モニタからは、内部のクロック発信機由来と考えられる電磁ノイズが発生し、その周波数が医用テレメータの一部のチャネルと重なっていたことから、運用上の注意点についても検討した。本成果は、学術誌(医療機器学)への掲載が決定するとともに、第29回日本臨床工学会においても発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に掲げた内容として、「医用テレメータに対する他の無線通信による影響の評価」および「医用テレメータの受信機に搭載された簡易スペクトラムアナライザ機能についての基礎的検討」を実施した。次年度以降も医用テレメータに対する電磁干渉評価の研究は継続する。また、医療機関における簡易的な電磁環境評価方法についても新たな側面から検討をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度に引き続き、「医用テレメータの電磁両立性に関する研究」および「医療機関における簡易的電磁環境評価手法の検討」の二つの側面を軸に研究を実施する。 研究を進めていく上での課題として、令和2年度より研究者の所属機関の異動があり、研究環境の再構築が必要となった。一方、現所属機関および前所属機関の所有する機器・設備等で使用可能なものは、積極的に用いて研究を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度途中において、次年度より研究者が異動となることが決定した。研究環境の再構築が必要となるため、一部の機器の購入や借用などが先送りになったため差額が生じた。また、出張予定であった学会が新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止となったことから、旅費として計上していた分も差額として生じた。
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