本研究は、良質な医療電磁環境の確立を目標とし、医療機器および無線通信機器の電磁両立性の検討、ならびにそれらが使用される医療環境の評価を簡易的におこなう手法を検討した。 〇医用テレメータの使用環境評価のため技術検討:医用テレメータの受信機(生体情報モニタ)に搭載されている簡易スペクトラムアナライザ機能の有用性と使用上の問題点を検討した。本機能は、400 MHz帯の医用テレメータのチャネル受信強度を測定可能であることから、送信機の受信強度や電磁ノイズ源の把握に有用である。一方、受信機からは一部のチャネルにクロック由来の電磁ノイズが発生することから、使用上はアンテナと本体の離隔が必要である。本成果は学術誌(医療機器学)への掲載とともに、幾つかの学会・研究会にて報告した。 〇ソフトウェア無線機(SDR)の電磁環境評価への応用検討:SDRを用いた電波環境測定システムについて検討し、有用性と問題点を明らかにした。SDRは安価であることから、スペクトラムアナライザの代用も期待できる。一方、使用に際してはDCスパイクノイズの除去が必要である。本成果は、第60回日本生体医工学会大会のシンポジウムにおいて報告した。 〇医用テレメータ受信機で発生する相互変調の検討:医用テレメータ受信機で発生する相互変調を定量的に評価し、実環境での発生の可能性を検討した。ゾーン配置を徹底することで、A型の医用テレメータ同士の干渉は防げるが、周波数を共用する高出力の無線機器についてもゾーン配置をおこなうことが望ましい。本成果は学術誌(医療機器学)への掲載とともに、幾つかの学会にて報告した。 〇機械学習による医用テレメータの受信状況推定:機械学習を用いて、医用テレメータへの電磁干渉の有無や、搬送波対雑音比を推定するアルゴリズムを構築し、その精度を評価した。本成果は、第96回日本医療機器学会において報告した。
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