2021年度の実績としては、前年度に引き続き取り組んできた健康情報の収集と、自治体健康ポイントのデータ、各種健康情報とKDBシステムから抽出した医療情報および介護情報とを連携した分析の実施、およびその成果の発表である。2020年度の取り組みによって実現された健康・医療・介護ビッグデータの連結によって、様々な医療・健康・介護情報データ分析を行うことが可能となっている。昨年度より取り組んでいた「自治体による健康ポイント事業の効果検証および事業評価方法の検討」を行い、北海道岩見沢市で実施している健康ポイント事業の効果検証について、傾向スコアマッチング法を用いて、医療・介護レセプトと健康情報を連携させた分析を行っている。本研究では、健康ポイント事業の参加者と非参加者の介護費の抑制効果を単純比較すると、事業参加者については抑制効果が有意にみられていたが、傾向スコアマッチング法によって参加者と非参加者を調整し、比較することによって、介護費の抑制効果がみられなくなるという結果が得られた。本研究の結果から、自治体による健康づくり事業の適切な評価のためには医療・健康・介護情報を活用した上で、傾向スコアマッチング法のような分析手法を用いて検討する必要があることを示唆している。
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