研究課題/領域番号 |
19K19386
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平木 秀輔 京都大学, 医学研究科, 助教 (60781523)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 病院管理 / ベッドコントロール / 管理会計 / 人材育成 |
研究実績の概要 |
本研究は、病院のマネジメントを中央集権的なものから分散的な意思決定システムとすることによって効率化が図られるのではないかという仮説を検証することを目的とする。本年度においては、病院マネジメントの中で「ベッドコントロール」に注目することとし、分散的なベッドコントロール、特に代用貨幣(トークン)を用いたものの実現可能性について探った。 まず背景情報の収集として、病院管理・看護管理の既存のワークフローを整理した。その中で分散型意思決定システムの実運用を支えるためには現場スタッフに経営感覚を持たせることが必要になることに思い至り、病院経営およびその教育のあり方について先行的な取り組みの調査を行った。また、上記システムの管理者からみたトークンの管理については経済学の一分野としての貨幣論に運用のヒントがあると考え、それらについても文献調査を行った。 実証に向けた取り組みとしては、研究代表者が提案するトークンを用いたベッドコントロール手法を模したゲーム型シミュレーションシステムのプロトタイプを実装し、看護管理の経験のある看護師を対象にサーベイ実験を行った。 上記の実績をもとに、各種の国内学会発表を実施した。加えて次年度初頭における海外学会での発表を予定して第4四半期に予稿を投稿していたが、感染症の拡大により発表の実施は困難となっている。また、サーベイ実験の結果の分析は概ね終了しており、論文化に向けて作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、本年度においては背景知識の整理を行い、かつ小規模・予備的なシステム開発と評価を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度に作成したプロトタイプを臨床現場応用に向けてさらに改良・評価してゆくとともに、実臨床のフィールドにおいて小規模な実験計画を立案していくことを予定している。加えて、ベッドコントロール以外の業務においても同様の課題解決が得られないか引き続き探ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、年度後半に予定していた情報収集のための学会出張および臨床現場との情報交換のための出張が感染症の拡散により実施できなかったことと、実験協力者への謝金が想定より低廉となったことによる。次年度以降、状況が許す限り現場に足を運んだ情報収集を幅広く実施する一方、広く学内外の協力者を対象に検証実験を進めていく予定である。
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