近年,低周波音を原因と疑う睡眠障害・頭痛・めまい・吐き気等の症例が多数報告されている.低周波音が前庭器官・半規管によって受容されたことによって「圧迫感」・「振動感」が生じている可能性があり,頭痛・めまい・吐き気等の症例はこれらの器官への外部刺激に起因する平衡機能障害であると推察される. 本研究では,低周波音による特異的な健康影響を評価するための基礎的な知見として,低周波音による「振動感」に関する音響心理実験を行った. 「振動感」の知覚に共振の存在が示唆されること,「振動感」の閾値を被験者が判別することは困難であり実験デザインの見直しが求められること,等の知見を得た.
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