本研究では、ガボン共和国においてブッシュミートに存在する病原体を網羅的に解析し、中部アフリカの野生動物が保有する病原体を明らかにするとともに、人獣共通感染症の感染防止につながる情報を提供することを目的としている。 2020年度は、2019年度にメタゲノム解析を行った結果とともに、新たにメタゲノム解析を行った結果を基に、ブッシュミートの狩猟場所・狩猟日・動物種情報と同定された病原体情報から、各病原体の地域性や時期特異性・動物種特異性などを疫学的に解析した。その結果、45匹のブッシュミート検体から28種類ものウイルスファミリーが検出され、野生動物には多くのウイルスが広く存在していることが明らかになった。動物種間で比較すると、偶蹄目とげっ歯類において保有ウイルスの違いが顕著であった。また、ブッシュミート検体の採取地で比較したところ保有ウイルスに大きな違いはなく、河川の存在や100kmほどの距離は保有ウイルスに影響しないことが判明した。人獣共通感染症を引き起こし得るウイルスとしては、エンテロウイルスを始めとする腸管ウイルスが多数検出された。 以上から、本研究では中部アフリカで日常的に食されているブッシュミートに存在するウイルス感染リスクを明らかにすることができ、現地におけるブッシュミートの適切な処理を促進することが期待される。
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