研究課題/領域番号 |
19K19431
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
道喜 将太郎 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60808781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機械学習 / 産業医学 / メンタルヘルス / AI / 強化学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、機械学習(ニューラルネットワーク)をはじめとするArtificial intelligence (AI)の技術を用いて、産業医学の分野にて対応が困難であったメンタルヘルスの問題を抱える労働者への、最適な対応ができるシステム構築を目的とする。メンタルヘルスの問題は多様化し、内科や外科系の産業医がメンタルヘルスの問題へ精通していない場合、適切な対応ができないことがある。そのため、精神科を専門とする産業医のニーズは大きいものの、人数が少ないためそのニーズに応えられていない。産業医の判断をAIに学習させることで、病気休暇の取得の要否や、病気休業期間、職場復帰のタイミングを自動判定するメンタルヘルス支援者用面談補助システムを構築する。 2019年度は、労働者を対象とした大規模横断調査のデータを用いて職場のうつ病予測モデルを作成した。調査項目は、年齢、性、婚姻、就業状況、職種、役職、学歴、同居家族、住居、運動習慣、喫煙習慣、抑うつ尺度であった。抑うつ気分を呈する職員の検出精度は約90%と、比較的高い値であった。うつ病の質問紙の多くは主観的な気分で判定されるが、本モデルでは、客観的な評価項目のみを利用してうつ病を判定するため、偏見のせいで心理的な質問への回答を避けることを排除できることから、本モデルはうつ病のスクリーニングとして利用できる可能性がある。 2020年度は、本モデルが精神科医の判断と比較してどの程度の性能であるのか検討を行った。その結果、本モデルは精神科医の判断と比較して同程度の精度であることが判明した。 2021年度は上記研究成果を学会誌に発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大規模調査のデータを用いてニューラルネットワークによる機械学習を行い、うつ病の予測モデルの作成に成功した。2020年度に引き続き、モデルの産業医学への応用する過程が完了しておらず、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
膨大な産業医面談記録のデータを用いて、産業医の判断をAIに学習させることで、病気休暇の取得の要否や、病気休業期間、職場復帰のタイミングを自動判定するメンタルヘルス支援者用面談補助システムを構築する。 新型コロナウイルス感染症の影響により、遠隔での産業医面談が普及しつつある。しかしながら、その有効性などは科学的なエビデンスが十分ではない。そこで、遠隔での産業医面談の効果についてもAIの技術を用いて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
産業医面談記録のデータ入力作業にかかる人件費を計上していたが、うつ病の予測モデルの作成に時間がかかり、データ入力作業を開始することができなかったため。
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