研究実績の概要 |
申請者は、国内外のコホート由来のゲノムワイドDNAメチル化情報を基に大規模エピゲノムワイドメタ解析を実施して、DNAメチル化が血中レジスチン濃度を介して生活習慣病の発症に如何なる影響を与えるのか調査・解明を行う。 昨年度は、我々が保有するコホート研究と公開されている海外のデータでレジスチンのエピゲノムワイド関連研究(EWAS)のメタ解析を実施し、有意なDNAメチル化サイトを確認した。今年度は、同定したレジスチン関連メチル化サイトについて、さらなる分析を行った。まずレジスチンは主に単球で発現していることから、単球のレジスチンのmRNA量と先のEWASメタ解析で同定したメチル化サイトについて関連を評価した。その結果、メチル化サイトXは、EWASメタ解析と一貫して有意な関連を示した。このことから、少なくともサイトXについては、単球でレジスチンのmRNAを調節した結果、血中のレジスチン濃度との関連が確認できたと考えらえる。続いて、これまでに同定したレジスチン関連メチル化サイトXおよびYについてEWAS Atlasを用いて、他の形質との関連が報告されているか評価した。これらのDNAメチル化サイトは他のEWASで喫煙や他の疾患との有意な関連が報告されていた。このことから、メチル化サイトX, Yは、レジスチン濃度調節以外にも機能的サイトであると考えられる。これらの結果は、レジスチン濃度はRETN遺伝子以外の遺伝子によってエピジェネティックに制御されている可能性を示している。
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