ウェイトバイアスは、肥満対策が十分な効果を挙げられていない要因の1つとして、近年注目されている。そこで本研究では、ウェイトバイアスに関する研究基盤を作るとともに、保健指導の場面で指導者が肥満者に与えるウェイトバイアスを予防した効果的な減量指導法を開発することを当初の目的とした。研究計画に基づき、自身を「肥満である」と認識している者における内在化ウェイトバイアス尺度の日本語版の開発を行った。具体的には、令和2年度までに原著者レビューなどを実施した日本語版ウェイトバイアス尺度について、令和3年度に信頼性・妥当性の検証のためのインターネット調査を行い、同尺度の内的整合性と再検査信頼性、構造的妥当性、収束的妥当性について検証を行った。これらを通じて、本研究の目的であった本邦におけるウェイトバイアス研究に関する基盤的知見を獲得することができた。一方で当初計画していた、医療従事者におけるウェイトバイアス尺度についても日本語版の作成については、原著者レビュー等の所定の手続きをとることが困難であるため作成を断念した。加えて新型コロナウイルス感染症流行により、保健師等に対する介入研究は実施することができなかった。これらの状況下にありながらも、ウェイトバイアスの予防プログラムの開発に向けた方略として、内在化ウェイトバイアスと行動活性化との関連についての補足的な検討を行い、内在化ウェイトバイアスと行動活性化との間に負の相関関係を確認した。
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