研究実績の概要 |
2021年度は、小児期の肥満の要因の一つである出生体重に着目し、日本における低出生体重児の20年間の推移について、正期産・単胎児に絞り分析を行った。分析方法は、人口動態統計より、2000年から2019年までの出生体重に関するデータを抽出し、出生体重が2500g以下の正期産単胎体重児が、全正期産単胎児を占める割合を算出した。分析にはJoinpoit分析を用い、最適な変曲点と平均年変化率(Annual Percent Change) を求め、トレンドの評価を行った。研究対象期間における全出生は21,061,052であり、そのうち低出生体重児は 1,976,911(全出生9.39%)で、正期産単胎低出生体重児は1,066,959(全低出生体重児の54.0%)だった。正期産単胎低出生体重児の割合は、2010年ごろまで増加し、その後は下降傾向が認められた。また、トレンドの変曲点は、男児は2005年と2010年、女児は2008年に観察された。2000年から2019年において、わが国の正期産単胎低出生体重児は、男女ともに2010年頃を境に増加し、その後下降していた。低出生体重児の背景には、若い女性のやせや妊娠中の体重増加との関連が長く示唆されており、それらとの関連についても詳細な分析を行う必要が示唆された。 また、幼児期のBMIの上昇は、学童期以降の肥満のリスクにつながるとの報告もある。2022年度については、幼児期の子どもたちのBMI上昇の状況(発症割合、発症年齢、BMI上昇と年長時BMIとの関連)について、実際に収集した健診データより分析を行う。
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