2022年度は、学校保健統計を用い、福島県における肥満傾向児(5歳児)の推移について、2006年から2020年の約15年間男女別の推移をJoinpoint分析を使用し検討した。福島県は、東日本大震災後の放射線被害の影響を受け、肥満傾向児の増加が指摘されている。肥満予防の重要性について、幼児期からのアプローチが 着目されており、震災影響による身体活動量の低下などを考察するために分析を行った。本研究においても、震災前の身体活動の低さが地震後にさらに減少したおそれが示唆され、肥満への間接的な影響を考察した。2023年度は子どもの身体活動低下のひとつの原因になっている、スクリーンタイムの測定方法に着目した。フランスで実施された幼児期向けのスクリーンタイム調査票による、日本の幼児を対象に、スクリーンタイムの測定が日本の文脈において使用できるのか、測定ができるのかの検討を行うために研究を進めた。2023年度は、その質問票が日本の生活において、子どもの微細運動発達に適した表現になっているのか、表現等が適切なのかの検討を行った。それに伴い、フランスにおける子どものスクリーンタイムや身体活動を増やすための取組みについての視察を行った。幼児が行うタッチスクリーンの行動は、日本もフランスも大きな差異はないものの、行動を質問票として使用するためは日本語表現として伝わりにくい部分もあると判断した。本質問票は引き続き検討していく必要性があると考える。
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