不眠症は生活習慣病、循環器疾患や精神疾患等と関連があることから、睡眠は重要な問題として注目されている。また、昨今のAI技術の発達や情報化社会に伴うライフスタイルの変化に対して、社会変化に考慮した健康経営の推進が求められている。 これまでに睡眠は、身体活動、喫煙、肥満といった様々な生活習慣が関連するとされているが、これらの健康行動因子が複合的に重積した場合の睡眠障害に関するリスクについては検討が少ない。 本研究の目的は地域在住一般住民に対して健康行動の状況を明らかにし、(1)喫煙、運動習慣、肥満、飲酒、食習慣等といった健康行動・生活習慣の要因数がどのくらい睡眠の質に影響するか。(2)これらの要因がメタボローム解析によって評価される代謝プロファイルにどのような変化を明らかにすることで効果的な睡眠衛生や睡眠障害による心代謝疾患の予防を網羅的に検討した。 35~74歳の職域・国保加入者を対象とした健診データや既往歴、生活習慣に関する調査票等を収集・データクリーニングし、循環器疾患・脳卒中などの既往歴や睡眠関連の質問等が欠損者を除外した方を解析に使用した。これまでに複合的な健康行動が不眠症や睡眠時間に与える影響についてや不眠症に影響する代謝について解析した(血漿や尿中からのバイオマーカー探索)。これらについて社会経済的要因を考慮し、生活習慣病や性別ごとに影響を検討した結果、複合的な健康行動が不眠症のリスクを高めることが明らかになりまとめた。
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