研究課題
腰痛・膝痛などの慢性運動器痛に対するセルフマネジメント支援が根拠に基づいて個別化されることでより一層有用とできる可能性がある。近年、認知行動療法による不安や恐怖感など痛み認知の改善が注目されており、認知行動療法による慢性運動器痛改善の機序に、セロトニン(5-hydroxytryptamine:5-HT)やβ-エンドルフィン(β-endorphin:β-END)などの神経修飾因子の関与が示唆されている。本研究は、地域中高年住民の慢性運動器痛保有者に対する運動療法と認知行動療法を組合わせたセルフマネジメント支援が、生活機能を改善し、その改善に神経修飾因子が関与するかを、客観的生体指標を加えた無作為化比較試験によって検証する。運動療法や認知行動療法を用いたセルフマネジメント強化と神経修飾因子との関連解明は、地域における客観的根拠に基づく慢性運動器痛の予防の推進に貢献すると考えられる。平成31(令和元年)度は中高齢期に多い慢性腰痛保有者を対象とした指導法の開発を行い、研究プロトコルと教材の作成、倫理審査、住民健診で対象者を抽出・参加勧奨を行う体制の整備を行った。また、令和2年1月末より無作為化比較試験の開始が予定され、研究と参加者の登録とベースライン調査を実施するところまで進めていたが、新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、急遽延期の手続きを行った。このため、試験開始は令和2年4月現在で未定であるが、事態の収束をみて、実施計画を再構築する予定である。当該研究に関連するセルフマネジメント支援の取り組みは第78回日本公衆衛生学会総会で発表し口演賞を受賞した。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定どおり、研究プロトコルと教材の作成、倫理審査、住民健診で対象者を抽出・参加勧奨を行う体制の整備が進んだ。無作為化比較試験の開始は令和2年度以降となる予定である。
無作為化比較試験の実施を進める予定だが、国内の新型コロナウイルスの感染制御方針を十分に考慮し必要に応じて実施計画の変更を行う。
無作為化比較試験開始が令和2年度以降となる関係から、平成31(令和元年)度使用分の一部を令和2年度の使用に変更する必要が生じた。
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Spine Surg Relat Res
巻: 3 ページ: 377-384
https://doi.org/10.22603/ssrr.2019-0005
月刊薬事
巻: 61 ページ: 54