研究課題
腰痛・膝痛などの慢性運動器痛に対する公衆衛生学的観点からのセルフマネジメント強化が重要と考えられる。近年、認知行動療法による不安や恐怖感など痛み認知の改善が注目されており、認知行動療法による慢性運動器痛改善の機序に、セロトニン(5-hydroxytryptamine:5-HT)やβ-エンドルフィン(β-endorphin:β-END)などの神経修飾因子の関与が示唆されている。本研究は、地域中高年住民の慢性運動器痛保有者に対する運動療法と認知行動療法を組合わせたセルフマネジメント支援が、生活機能を改善し、その改善に神経修飾因子が関与するかを、客観的生体指標を加えた無作為化比較試験によって検証する。運動療法や認知行動療法を用いたセルフマネジメント強化と神経修飾因子との関連解明は、地域における客観的根拠に基づく慢性運動器痛の予防の推進に貢献すると考えられる。令和2年度までに5-HTとβ-ENDの測定精度と再現性を確認した。令和3年度から令和4年度にかけては、症例対照研究での仮説検証の準備を進め、測定キットも確定した。令和5年度に測定、解析を実施した。その結果、血清β-END量の1年間の変化量について、セルフマネジメント強化を受けた慢性腰痛群は、受けなかった慢性腰痛群よりも、減少量が少なかった。この傾向は、非慢性腰痛群と同様であった。慢性腰痛の有無およびセルフマネジメント強化の有無と、血清5-HT量との有意な関連は認められなかった。
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Prev Med Rep
巻: 13 ページ: 102684
ペインクリニック
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