研究課題/領域番号 |
19K19445
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
武内 治郎 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60791324)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 調査票 / 同意書 / 母子手帳 / 回収 / ウイルス抗体 / 母体状況 / ウイルス感染症 / 大学生 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方自治体の助成によるムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を明らかにすることで、青年期における流行性耳下腺炎の流行を防止することを目的としている。 本年度は具体的な研究計画書を完成させ、本学と他の研究協力機関での倫理審査にて承認を受けた。横断研究実施のため、西日本に位置する3大学の各学生へ調査の説明を行い、同意を得られた学生の保護者に調査票一式(説明文書、同意書、同意撤回書、自己記入式調査票、返信用封筒)を送付し、それらの返信により同意書、調査票及び母子健康手帳の複写物を回収している。2回のリマインドを経て同意書の取得終了後、各大学の保健管理センターより学生のウイルス抗体に関する情報を得る予定である。 全対象者1852名のうち、個別の説明が可能となった1653名の学生への調査の依頼を完了した。同意を得られた学生の保護者1138名へ調査票一式を送付し、現時点では447名から回答を得られた。そのうち、同意書の返送があったのは444例(全対象者のうち24.0%)であり、調査票への回答は444例(24.0%)、母子健康手帳の複写物の返送は390例(21.1%)であった。同意を得た学生の保護者への調査票送付は2020年5月に終了する予定であり、463例の回収(回収率25%)を目標としている。 本研究は、母子健康手帳より詳細な母体状況についても情報を得るため、観察研究にもかかわらず、学生からの同意に加え保護者からの同意書も取得する特殊なデータである。この性質を考慮すれば、この回収率は十分な結果である。必要な交絡要因を調整する解析として必要なサンプルサイズは300と算出していることから、解析に問題はないと考えている。 今後実施する解析を通じて、ワクチン接種により予防可能なウイルス感染症のアウトブレイクを防止する方策を社会に提供することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査票一式の回収が順調に進捗し、終了目前であること、かつ調査票一式の回収数より、多変量解析に必要なサンプルサイズを得ることができていることから、おおむね順調に進展していると言える。また、ワクチン接種による疾患の予防について解析を行うためには、ワクチンの接種歴、抗体価の有無及び自然感染歴についての情報が必須であり、さらに、ワクチン接種への地方自治体の助成の有無が、ワクチン接種率へ与える影響についても解析を行うため、ワクチンを接種した地域の情報や保護者に関する情報も必要であるが、こちらについても十分取得できている。今後、これらのデータを基に、論文化を積極的に進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通り、同意書取得終了後、各大学の保健管理センターより、各学生のウイルス抗体価のデータを入手する。研究の推進のため、全てのデータを取得後、データ入力作業を外部へ委託し、迅速に終了させる。また、早期論文化のため、データ入力の委託と同時に論文執筆の準備を進め、データ入力結果を得られれば、直ちに解析を開始する。 本研究では、地方自治体の助成によるムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を明らかにすることにより、小児期のワクチン接種を終えた後のキャッチアップ接種の効果が明らかになる。その結果により、今後のワクチン接種における健康政策の費用決定に影響を及ぼし得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査票の郵送及び返信について、切手を使用する予定であったが、研究費の適正使用の観点及び事務作業効率化のため、料金後納と受取人払いを採用した。これにより、返信用封筒全てに切手を貼る必要はなくなり、結果として、通信費の使用を当初の予定より削減することができた。また、この方法により、通信費の支払いの一部を次年度に持ち越すこととなった。 次年度においては、持ち越している料金後納での発送や受取人払いを利用した通信費の支払いと、調査票の回収率をさらに上げるための、リマインドを実施する際に発生する封筒、クリアファイル等の物品費や通信費に使用する予定である。 なお、調査票発送に伴う事務作業の効率化により、本年度は非常勤職員を雇用せず、次年度にデータ入力作業を外部委託する際の人件費として使用する予定である。
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