研究課題/領域番号 |
19K19445
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
武内 治郎 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60791324)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ムンプス / ワクチン / アウトブレイク / 自治体助成 / 青年期 |
研究実績の概要 |
本研究は、地方自治体の助成によるムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を明らかにすることで、青年期における流行性耳下腺炎の流行を防止することを目的としている。 2020年度は2回の郵送によるリマインドを経て、同意書および調査票への回答、母子健康手帳の複写物を全て取得した。交絡要因を調整する解析のために必要なサンプルサイズの300を目安として、463人の回収(回収率25%)を目標としていたところ、最終的な回収率は593人(回収率32%)となり、特殊な個人情報を扱った調査としては予想を上回った回収率となった。 調査票への回答および母子健康手帳の複写物の各情報については、データ入力業者へ委託し、一次データベースに入力を完了した。学生のウイルス抗体に関する情報については、各大学からデータを持ち出さず、各大学の保健管理センターの担当者によって勤務時間中にデータ入力をする方針であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各大学のデータ入力担当者の業務が大幅に増え、データ入力の時間が確保できず、入力作業に遅れが生じ、入力完了は3月となった。 また、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因について検討した。その内容についての論文は、現在国際学術誌へ投稿し、査読の対応を行っている。 今後の研究成果を通じて、ムンプスワクチン接種によりムンプス感染症のアウトブレイクを防止する有用性および医師によるムンプスワクチン接種に関する態度の改善策を社会に提供していくことが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けつつも、調査票一式の回収、さらに全てのデータ入力が終了したことから、おおむね順調に進展していると言える。 ワクチン接種による疾患の予防について解析を行うためには、データクリーニングと各自治体によるワクチン接種に対する助成状況の確認およびその結果のデータ入力が必要であるが、これらについては研究計画に準じた手順通り、次年度に遂行可能であり、既にデータクリーニングと共に、試行的な解析を開始している。今後、解析を行い、論文化を進める予定である。 また、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因についての検討は、既に英語論文原稿を国際学術誌へ投稿し、査読の対応を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究課題におけるデータクリーニングおよび解析を行った上で、国際学術誌への論文掲載まで進める予定である。研究協力者である森本教授へ定期的に報告した上で研究指導・統計学的手法の指導を受けることにより、解析、投稿および論文掲載まで迅速化を図る。さらに、事務作業効率化を図るため、引き続き次年度も非常勤職員を雇用する予定である。 本研究では、地方自治体の助成によるムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を明らかにすることにより、青年期までのムンプスワクチン接種におけるキャッチアップ接種の効果が明らかになる。その結果が資料として扱われ、今後定期接種が望まれているムンプスワクチン接種への健康政策上での費用策定に大いに貢献できると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、情報収集を目的とした学術集会の参加に関する費用を計上していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現地での参加は叶わなかったため、未使用額が発生した。 現在、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因を検討する研究に関して、国際学術誌への投稿に向け、論文執筆を遂行中であり、次年度においては、最先端情報の収集や本研究の成果を発表するための学会参加や論文執筆に伴う英文校正費用や掲載料に使用する予定である。 なお、事務作業効率化を図るため、本年度に引き続き、次年度も非常勤職員を雇用する予定である。
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