研究課題
本研究は、地方自治体の助成によるムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を明らかにすることで、青年期における流行性耳下腺炎の流行を防止することを目的としている。2021年度は、まずワクチン接種による疾患の予防について解析を行うために、各自治体によるワクチン接種に対する助成状況の調査を完了し、その結果をデータ入力地方自治体の助成によってムンプスワクチン接種を受けた大学生はいなかったことが判明した。研究協力者である森本教授と検討した結果、メイン論文には用いない方針とした。データ入力を完了した次の段階として、データ解析を進め、結果をまとめつつ、英語論文執筆を進めている状況である。しかし、データについて精査している際に、データ入力上の矛盾点が明らかとなった。そこで、データ入力業者に生データとなる調査票一式を送付し、追記した入力規則を伝えることで全体のうち一部のデータの再入力を依頼した。納品を受け、問題となった点は解消されていたことを確認した。再入力されたデータの確認を通じて、海外でムンプスワクチンが含有されたMMRワクチンを接種されている大学生が十数例みられたことが判り、メイン論文にこの新たなデータを加えた追加解析を行う方針とした。また、このデータを用いたサブ論文として、出生後における母体からの授乳の状況とその後のウイルスへの抗体獲得についての研究も新たに検討している。他のサブ論文として、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因について検討した英語論文は、国際学術誌へ投稿し、査読対応した結果、採択し掲載された。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究活動に種々の制限を受けつつも、メイン論文についてはデータ解析、論文執筆、データの改訂まで進捗したことから、おおむね順調に進展していると言える。また、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因についての検討は、既に英語論文として国際誌に掲載した。今後の研究成果を通じて、ムンプスワクチン接種によりムンプス感染症のアウトブレイクを防止する有用性について、社会に提供していくことが可能である。
今後は、本研究課題における追加解析を行った上で、執筆を進め、国際学術誌への論文掲載まで進める予定である。研究協力者である森本教授へ定期的に報告した上で統計学的手法および英語論文執筆の指導を受けることにより、解析、投稿および論文掲載まで迅速化を図る。本研究では、ムンプスワクチンの追加接種と大学生におけるウイルス抗体価上昇との関連を検討することにより、青年期までのムンプスワクチン接種における追加接種の効果が明らかになる。その結果、今後定期接種が望まれているムンプスワクチン接種への健康政策上での費用策定に大いに貢献できる資料となり得る。
本年度は、情報収集を目的とした学術集会の参加に関する費用を計上していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現地での参加は近隣の1件を除き他は全て叶わなかったため、未使用額が発生した。現在、ムンプスワクチン接種の実施および接種に関連する要因を検討する研究に関して、国際学術誌への投稿に向け、論文執筆を遂行中であり、次年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の程度に応じて最先端情報の収集や本研究の成果を発表するために学会へ参加し、論文執筆に伴う英文校正費用や掲載料に使用する予定である。なお、事務作業は完了したため、次年度は非常勤職員の雇用をしない予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
日本プライマリ・ケア連合学会誌
巻: 45 ページ: (in press)
Journal of General and Family Medicine
巻: 23 ページ: 9 - 18
10.1002/jgf2.471