本研究の目的は、様々な職種の労働者における喫煙に関する調査を行うことで、加熱式タバコの使用者の割合、それを使用する理由などを正確に把握すること、また、自力で禁煙できずに加熱式タバコを使用し始めた集団を禁煙の準備性が高い集団と捉え、加熱式タバコの使用者への対応マニュアルを作成することで、正しい禁煙方法(=禁煙補助剤を用いた禁煙治療)に誘導することである。 本年度は3年計画の3年目の最終年度であり、前年度で調査した事業場の追跡調査を行った。加熱式タバコに対する認識について、「加熱式タバコを使用することは“喫煙である”と思わない」と回答した者は25.4%→23.8%→23.9%で、「加熱式タバコを禁煙の場所でも使用できると思う」と回答した者は16.9%→15.4%→14.2%であった。加熱式タバコに対する誤った認識を持っている者は減少傾向であるが、14~24%にとどまった。この者たちに対して、正しい知識を提供する必要がある。 加熱式タバコと紙巻タバコの使用状況について、「加熱式タバコのみ」の使用者は23.2%→22.7%→11.8%、「紙巻タバコのみ」は29.5%→27.0%→23.7%、「加熱式タバコと紙巻タバコ両方」の併用者は12.9%→11.8%→11.9%であった。加熱式タバコまたは紙巻タバコの単独使用者の割合が減少したが、併用者の変化が見られなかった。加熱式タバコと紙巻タバコの使用状況や禁煙企図のステージに合わせて、禁煙方法を推奨する必要がある。
|