研究課題
本研究は、複数の社会ネットワーク分析を通じて、人々が埋め込まれているネットワークの構造および他者のネットワーク上の特性が人々の健康行動をどのように規定するのかを明らかにし、健康向上を目的とした介入のためのインプリケーションを導出することを目的としている。本年度は、①社会調査から得られた各回答者の親密圏ネットワーク(エゴセントリックネットワーク)の特性と健康行動の関連に関する実証的検討、②所属社会集団を介して構築される社会的ネットワーク(2モードネットワーク)からの健康行動への影響を検討するための社会調査データの収集、の2点に取り組んだ。①については、既存の社会調査で得られている回答者の4人の親密な他者(オルター)のネットワーク構造的特性と行動的特性が、回答者の喫煙にどのように関与しているかを、社会ネットワーク分析の手法を用いて検討した。具体的には、親密圏ネットワーク内における各オルターのネットワーク中心性(固有値中心性)が、とくに教育歴の短い回答者において、回答者-オルター間の喫煙の関連性を強めることを明らかにした。②については、ある自治体の複数の地域において65歳以上高齢者の確率的サンプリング調査を行い、複数の具体的な地域サロンへの参加の有無、健康関連行動(喫煙、飲酒、運動など)、社会経済的状況などに関するデータを収集した。今後、共通の地域サロンへの参加によって回答者間のつながりを抽出し、地域全体の社会的ネットワーク特性および各回答者のネットワーク構造上の特性が、ネットワーク上の健康関連行動の分布とどのように関連しているかを検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初想定どおりに進み、既存データの分析および次年度使用するデータセットの構築が完了している。
当初計画通りに進める。
次年度使用額が生じた理由は、次年度使用予定のデータセットの構築が想定よりも少額で完了できたためである。次年度の使用計画としては、さらなる研究の進展のために、追加的な社会調査を実施する予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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