研究課題/領域番号 |
19K19459
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
藤井 誠 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (10803760)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん / ライフコース / オストメイト / 多重がん / 地域がん登録 / 競合リスク解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、がんに一度罹患した患者は次のがんに罹患しやすいのか。罹患したがんが原因で死亡するのか。他の疾患で死亡するのか。普通の生活をおくることができるのか。というがん罹患後のライフコースを明らかにし、新時代におけるがん医療を考える上で重要な知見を提供することを目的とした研究である。 具体的には、がん患者の罹患後の経過年数と死因に関する検討、がん患者の術後のストーマセルフケア能力の自立と全身状態の経時的な変化に関する検討、多重がん罹患に関する初発のがん部位による特徴の検討を行った。 2019年度の検討では、がん患者の死因は、診断後経過年数とともに当該がん死亡は減少し、他がん死亡や非がん死亡が上昇することが明らかとなった。また、一度がんに罹患した患者はそうでない患者に比べ次のがん罹患のリスクが高いことが明らかとなり、口腔がん・食道がん・喉頭がん患者の多重がんリスクが高いことが明らかとなった。また、長期間の縦断的な追跡調査により、結腸直腸がんによるストーマを造設した患者は、高齢であってもセルフケア能力を獲得する事が可能であるが、ECOG-PS(Performance Status)が3以上になると自立したセルフケアが行えないという点が明らかとなった。 上記の本研究の成果を関連する国内の学会や国外の学会で報告した。また、今後論文化にむけた解析方法の追加や詳細な解析の追加についての課題を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では具体的な研究目的について、年度ごとに検討を行うとしていたが、全ての課題を平行して進めていく方向で研究を進め、成果発表においては国内学会1件、国際学会3件の発表を行うなうことができた。また、がんによりストーマを造設したオストメイトのセルフケア能力の獲得と喪失について縦断的に調査を行い、単に死亡だけでなく良い生活をどれだけ送ることができるかという視点での検討を行い、成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は研究成果を論文発表する予定である。 また、これまではがん罹患部位に関しては22部位と詳細に区分し検討をしていたが、死因に関しては3死因のみである。今後はより詳細な死因に着目し検討を重ねる計画である。また、縦断的な追跡調査に関しては、現在は70名程度であるが今後拡大していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の英文校正費と投稿料を請求していたが、次年度に論文投稿を行う予定となったため、次年度使用額が生じている。
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