研究課題
本研究は、がんに一度罹患した患者は次のがんに罹患しやすいのか。罹患したがんが原因で死亡するのか。他の疾患で死亡するのか。普通の生活をおくることができるのか。というがん罹患後のライフコースを明らかにすることを目的として進めてきた。2020年度の検討では、第2がんを診断された患者の予後と死因について、同じ部位の単発がん患者と比較することを目的とした分析を実施。第2がんを診断された患者の5年生存率は、胃では同時性第2がんが単発がんより低く、異時性第2がんでは同程度であること。肺では同時性・異時性第2がん共に単発がんを下回ることはなかったこと。多重がん患者の予後は、同時性では1つ目のがん、異時性ではICの影響が大きいと考えられることを国内学会で報告した。また、ストーマ造設後の排泄管理技術の習得の実態と習得に関連する要因を明らかにすることを目的とした検討では、長期間の縦断的な追跡調査により、結腸直腸がんによるストーマを造設した患者は、高齢であってもセルフケア能力を獲得する事が可能であるがこと。高齢者や全身状態を示す指標であるECOG-PS(Performance Status)が3以上になると自立したセルフケア技術を習得することが難しいながら、排泄物をストーマパウチから排出すつという行為はたとえ高齢であっても8割以上の方が自力で行えることができるということを原著論文で報告した。研究期間全体を通し、全数登録である疾患登録と死因情報を組み合わせた検討、1施設の長期コホートデータを検討することで、がん罹患者の死因や、罹患後の生活に関するいくつかの知見を得ることができた。今後は高齢のがん罹患者の数は増加すると考えられる。今回の研究を通し得られた知見は、新時代におけるがん医療を考える上で重要な知見を提供するといえる。
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日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
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