地域で活用できる認知症および軽度認知障害のスクリーニング検査法の開発研究

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K19460
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 河月 稔 鳥取大学, 医学部, 助教 (80736843)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 軽度認知障害 / スクリーニング検査 / 認知症検診

研究実績の概要

本研究の目的は、主に地域で活用できる認知症および軽度認知障害（MCI）のスクリーニングのためのコンピュータで実施できる神経心理学的検査を開発することである。これまでに申請者の所属する研究室では認知症検診で活用できるタッチパネル式コンピュータを使った認知症スクリーニング検査（物忘れ相談プログラム）を開発してきたが、認知症と認知機能正常者の識別に主眼を置いた検査であり、早期発見の観点からはMCIの検出に焦点を当てた改訂が必要であると考えて、本研究に着手した。
令和元年度は、コンピュータで実施可能なMCIのスクリーニング検査の作成、および病院で認知症専門医により認知症と診断された人、MCIと診断された人、認知機能障害が無いと診断された人を対象に作成した検査の有用性を評価した。しかし、コンピュータの説明だけでは問題を十分に理解してもらえず、認知機能正常者でも正答が得られなかった問題があったため、内容の改訂を行い再検証する必要性が生じた。
そこで本年度（令和2年度）は第一に過去の文献や他の認知機能検査を参考にするとともに、令和元年度の実施経験に基づいてスクリーニング検査の内容を改訂した。その後、改訂したスクリーニング検査の検証研究を行い有用性について確認する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で臨床研究の実施が困難な状況となった。しかし、改訂したスクリーニング検査の検証研究を行うための倫理審査申請は既に終了しており、さらに臨床研究を実施するフィールドの調整も目途を立てることはできている。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和元年度に作成し検証した認知機能障害を評価するためのスクリーニング検査において一部の内容に問題点が見つかり、検査内容の再検討と再検証を行う必要性が生じた。本年度（令和2年度）に問題の改訂は終了したが新型コロナウイルスの影響により検証研究を行うことが困難であったため、当初の計画より遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

臨床研究を行うための倫理審査申請は終了しており、研究フィールドの調整も目途が立っているため、令和3年度の早々にデータの収集を開始する。また、当初の計画では病院に来院された方を対象として検査の有用性を確認した後に地域での活用方法を確立することを考えていたが、病院での検証と地域での検証を並行して行うことで研究計画の遅れを取り戻す予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度までの予算は、コンピュータで実施可能な認知機能障害を評価するためのスクリーニング検査を改訂および検証し、ソフト化するための費用として使用することを主に考えていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で改訂したスクリーニング検査の検証研究が予定通り実施できず、ソフト化するためにシステム開発業者へ委託を行うことができなかったことより次年度使用額が生じた。令和3年度は、検査内容の検証後にソフト化を行うとともに、研究成果を発信していくために研究費を使用する予定である。