研究課題
本年度は、自殺対策計画の基礎資料となる自殺の地域格差を可視化を行った。一般に市町村で自殺死亡の高低を評価する際には、自殺死亡率や標準化死亡比(standardized mortality ratio: SMR)という指標が用いられるが、人口規模の小さい地域では変動が大きくなることが知られている。本研究では、階層ベイズモデルで、2009~2018年の自殺統計資料から人口の影響を小さくしたSMRを算出し、政策単位(市町村、二次医療圏、都道府県)間の見え方の違いを検証し、都道府県単位のみで評価すると見落としかねない自殺の多い/少ない地域を明らかにした。本研究成果は、英文誌 PLOS Global Public Health に受理され、2022年8月に掲載された。昨年度明らかにしたCOVID-19流行下の自殺理由の変化について、国内学術集会において国際シンポジウム2題、教育講演1題の発表を行ったほか、各地の新聞紙や全国放送のメディア対応を6件行った。2022年8月に公開された新規大綱の改訂案には COVID-19感染 症の影響を踏まえた自殺対策の推進 が明記され、COVID-19流行の影響に着目した自殺対策 は公衆衛生上重要な健康課題である。今後の展開として、さらにCOVID-19流行前後の自殺の要因の変化を明らかにし、社会参加や孤立対策など介入可能な自殺対策を見出し、全自治体の自殺対策計画立案の一助になるよう取り組みを続けていく予定である。本研究テーマは2023年度 若手研究「全自治体予測モデルによるCOVID-19流行下の自殺要因の分析: 社会参加/孤立と自殺の検証」(JP23K16359)として採択された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (3件)
厚生の指標
巻: 70 ページ: 16~23
PLOS Global Public Health
巻: 2 ページ: e271~e271
10.1371/journal.pgph.0000271
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id994.html
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/795/
http://www.miyazaki-u.ac.jp/newsrelease/edu-info/post-769.html