研究実績の概要 |
サルコペニアは、骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義されるが、骨格筋量・筋力がどの程度低い、あるいは低下するとリスクとなるのかを追跡して検討した報告はほとんどない。本研究では、都市部一般住民を対象としたコホート研究(吹田研究)において、骨格筋量・筋力およびその推移とその後のメタボリックシンドローム(MetS)罹患との関連を追跡検討する。 前年度は、筋力(握力)とMetS構成因子罹患の関連について解析したが、有意な関連は認めなかった。本年度は、骨格筋量とMetS構成因子罹患に関連があるかを検討する予定としたが、まずは、ベースライン時の性・年齢別(10歳階級)の骨格筋量について観察し、果たして握力と骨格筋量に関連があるのかどうかについて横断的に検討した。 被爆がなく、安価で簡便に実施できるため、本研究では、骨格筋量はBIA(bioelectrical impedance analysis)を用いて除脂肪量にて評価することとした。握力と同様、除脂肪量は男性の方が女性よりも多く、男女ともに年齢階級が上がるごとに減少していくことが分かった(男性 40-49歳 (59人):55.2±5.6kg, 50-59歳 (218人):53.2±5.5kg, 60-69歳 (389人):50.2±5.6kg, 70-79歳 (545人):46.8±5.4kg, 80-89歳 (242人):43.0±5.0kg, 90-99歳 (12人):40.8±5.8kg)(女性 40-49歳 (76人):39.2±3.7kg, 50-59歳 (387人):37.9±4.0kg, 60-69歳 (542人):36.7±3.5kg, 70-79歳 (611人):34.8±3.5kg, 80-89歳 (208人):33.0±3.7kg, 90-99歳 (17人):30.7±4.0kg)。男性は女性より高年齢層で握力と除脂肪量の相関が強かった(男性 60-99歳で相関係数0.4-0.5 (P<0.01)、女性 40-69歳で相関係数0.4-0.5 (P<0.01))。
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