• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

都市部地域住民を対象とした筋力低下とメタボリックシンドローム罹患に関する追跡研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K19475
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

河面 恭子  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (40784153)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード筋力 / 握力 / 骨格筋量 / 除脂肪量 / メタボリックシンドローム
研究実績の概要

サルコペニアは、骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義されるが、骨格筋量・筋力がどの程度低い、あるいは低下するとリスクとなるのかを追跡して検討した報告はほとんどない。本研究では、都市部一般住民を対象としたコホート研究(吹田研究)において、骨格筋量・筋力およびその推移とその後のメタボリックシンドローム(MetS)罹患との関連を追跡検討する。
前年度は、筋力(握力)とMetS構成因子罹患の関連について解析したが、有意な関連は認めなかった。本年度は、骨格筋量とMetS構成因子罹患に関連があるかを検討する予定としたが、まずは、ベースライン時の性・年齢別(10歳階級)の骨格筋量について観察し、果たして握力と骨格筋量に関連があるのかどうかについて横断的に検討した。
被爆がなく、安価で簡便に実施できるため、本研究では、骨格筋量はBIA(bioelectrical impedance analysis)を用いて除脂肪量にて評価することとした。握力と同様、除脂肪量は男性の方が女性よりも多く、男女ともに年齢階級が上がるごとに減少していくことが分かった(男性 40-49歳 (59人):55.2±5.6kg, 50-59歳 (218人):53.2±5.5kg, 60-69歳 (389人):50.2±5.6kg, 70-79歳 (545人):46.8±5.4kg, 80-89歳 (242人):43.0±5.0kg, 90-99歳 (12人):40.8±5.8kg)(女性 40-49歳 (76人):39.2±3.7kg, 50-59歳 (387人):37.9±4.0kg, 60-69歳 (542人):36.7±3.5kg, 70-79歳 (611人):34.8±3.5kg, 80-89歳 (208人):33.0±3.7kg, 90-99歳 (17人):30.7±4.0kg)。男性は女性より高年齢層で握力と除脂肪量の相関が強かった(男性 60-99歳で相関係数0.4-0.5 (P<0.01)、女性 40-69歳で相関係数0.4-0.5 (P<0.01))。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ感染症の影響に対応するため、通常業務が多忙となり、研究業務が遅延した。緊急事態宣言等によりデータ整理の人員が減ったことも、研究遅延の一因となった。

今後の研究の推進方策

本年度の解析で、握力と除脂肪量には相関があることが分かった。除脂肪量の測定はやや手間がかかるが、握力の測定は日常臨床でも簡便に行える。そのため、本研究で握力・除脂肪量の低値・低下とメタボリックシンドローム(Mets)構成因子罹患との関連が明らかとなれば、握力が低下しないように生活習慣の指導をすることで、骨格筋量の低下を予防でき、MetS各構成因子罹患、および将来的な生活習慣病、循環器病、要介護も予防が可能となる。本年度までの解析結果を踏まえて、次年度(最終年度)は下記を予定している。
①握力の指標について、左右の平均値、左右の最大値、握力/体重など詳細に検討し、握力とその後のMetS構成因子罹患の関連を再度確認する。
②骨格筋量の指標として、除脂肪量だけでなく、BIA(bioelectrical impedance analysis)で測定した筋肉量や骨格筋量などについても検討する。これら指標とその後のMetS構成因子罹患に関して縦断的に解析する。
③ベースライン時の筋力・骨格筋量を測定した2002-2005年から2010年までの追跡期間中の筋力・骨格筋量の推移のレベル別に、MetS構成因子罹患リスクについて解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究が遅延したために生じた次年度使用額は、人件費、論文投稿費などに使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] A Prospective Longitudinal Study on the Relationship Between Glucose Fluctuation and Cognitive Function in Type 2 Diabetes: PROPOSAL Study Protocol2020

    • 著者名/発表者名
      Matsubara M, Makino H, Washida K, Matsuo M, Koezuka R, Ohata Y, Tamanaha T, Honda-Kohmo K, Noguchi M, Tomita T, Son C, Nakai M, Nishimura K, Miyamoto Y, Ihara M, Hosoda K.
    • 雑誌名

      Diabetes Therapy

      巻: 11 ページ: 2729-2737

    • DOI

      10.1007/s13300-020-00916-9.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 都市部地域住民を対象とした血圧と脂質レベル別組み合わせによる潜在性心不全罹患リスクに関する研究:吹田研究2020

    • 著者名/発表者名
      小久保喜弘、東山綾、渡邉至、河面恭子、宮本恵宏
    • 学会等名
      第93回日本内分泌学会学術総会
  • [図書] 循環器内科 災害・パンデミックによるストレスと循環器疾患 ストレスとホルモン:いわゆる‘キラーストレス’とは2020

    • 著者名/発表者名
      河面恭子、宮本恵宏
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      科学評論社
  • [図書] medicina 循環器診療2020ーどこまで攻めて、どこから引くか? 循環器予防医学の未来2020

    • 著者名/発表者名
      河面 恭子、渡邉 至、 宮本 恵宏
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 日本臨床 高血圧学上 Ⅷ.2.日本における観察研究と高血圧の疫学  (11)吹田研究2020

    • 著者名/発表者名
      小久保喜弘、渡邉至、東山綾、河面恭子
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      日本臨床社

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi